四月の永い夢のレビュー・感想・評価
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ラストシーンの笑顔に胸キュン
蕎麦屋でバイトしながら細々と暮らしているヒロインのところに、元カレ(3年前に急死)の母親から手紙が届いて……っていうお話。
とにかくヒロインの初海ちゃんが美しすぎて、観てて切なくなってくる。
決して明るいお話ではなく、たぶんDVがテーマなんだと思うけど、ラストシーンの初海ちゃんの笑顔に救われる。
映画って分かってるのに、初海ちゃん幸せになって欲しい、って真剣に思ってしまうほど、ヒロインに惚れてしまった。
朝倉あきの映画
果たしてこのものがたりの主演がほかの人だったらここまで真面目に鑑賞しただろうか?と、自問しています。それは良い意味でも悪い意味でもです。
ものがたりは「ここでこれで終わっちゃってもいいよね?」と思ったとこが二回くらいありました。それでも初海から目が離せない引力。キャラクターとしてなのか、役者朝倉あきの魅力なのか私は自分でもわからない。
三浦貴大さん、とてもたくさんの映画でお見かけします。どんどん巧く、色んな役柄を演じてくれていて好きです。
本当に最初のモノローグ(っていうのかな?語り)から最後の彼女の表情まで一瞬も目が離せない映画でした。
収穫は朝倉あき、川崎ゆり子
う〜ん、期待したのに乗れなかった
もはや現代日本映画の伝統芸みたいな日常系の優秀作をいくつか観ていると、このアプローチが正直よくわからない。ジブリ的風景はわかった。ただ、もたない。風景が風景のままで、人対人でエモーションが起きない。
朝倉あきを観にいくのだと決めていたからいいようなものの、川崎ゆり子というのには驚いた。まったく予測できない存在だった。
時間がゆったりと流れるしっとり系映画
元恋人の自死により色を失った日々を過ごす主人公の初海が周囲の人々との関わりにより再スタートに歩もうとするストーリー。
朝倉あき、いつのまにか和服の似合う素敵な女性になったなぁ。しっとりした演技も上手いし。彼女を見るためだけでもこの映画は一見の価値ありです。
国立市の街並みや手拭い工場の情景、赤い靴の歌がゆったりとした映画を効果的に彩っていた。ラジオのあの雰囲気って、やっぱテレビには出せないんだよなぁ。
良い意味で現実感の無い映画。
クーラーも風呂も備えていない安アパートで住む若いフリーターの、でも抜群の育ちの良さを感じさせる女性がきれいな洋服・浴衣を着てカフェで読書。美人だから絵になるけど、そうじゃなきゃ意味不明な情景だ。
別れた元恋人に自殺直前に手紙を送る男ってのもちょっとね。
考え始めるときりがないが、そういう全てを飲み込むほどの圧倒的な空気感があるから映画としては素晴らしい。
手紙
丁寧で、優しさと温かさを感じる
脚本と映像に心を打たれました。
朝倉あきさんは姿勢がよくて、
浴衣姿はもちろん、
自然な佇まいが美しくて素敵でした。
すごく自分好みの映画でした。
映画館で見られてよかったです。
苦しみを癒すのは永い時間と人の優しさ
良かったなぁ
前向きな気分になれる映画だったー
3年前に恋人を亡くした初海の元に、その亡くなった恋人から、一通の手紙が届く
初海は、近所のお蕎麦やさんでアルバイトをしているのだが、
そこが店じまいをすることになったため、
新しい職場を探さなければいけなくなった。
しかし、3年前のことが引っかかっていて、なかなか、新しい一歩を踏み出せずにいた
そこで、初海は3年前の悲しい出来事と向き合う決心をする
では、なぜ、初海は重い腰を上げて
辛い過去と向き合う決意をしたのか
蕎麦屋が閉店するというタイミングもあるだろう
くまちゃんに告白されたこともあるだろう
でも、彼女を最も強く動かしたのは
「辛い思いをしているのは私だけではない」
ではなかったかと思った
恋人のDVに悩まされながら明るく生きている楓も
店じまいをする忍さんも
もうすぐ子供が生まれる同級生も
みんな、現実と向き合って毎日を生きている
けれど、初海の時間は3年前から止まったままだ
ここでは、そんな初海が悲しみの底から立ち上がり、再び歩き出すまでが描かれている
人が再生するのに必要なのは、時間と人の温かさである
悲しいできごとが風化するまでの時間と、周りの人たちとの会話が、人を癒していく
中でも、高橋恵子演じるお母さんの優しさには泣いてしまった
初海はお母さんに負い目があったけれど、お母さんも初海には負い目を感じていたのだ
「人生はいろんなものが減っていくものだと思うの」
そのお母さんの言葉に涙が溢れた
若いうちには、いろいろな出会いを重ねて、友人も経験も増えていくけど
ある年齢を越えると、今まで積み重ねたものが、どんどん減っていく
しかし、それもまた人生なのだ
だからこそ、人との出会いがあるうちは、前を向いてたくさんの人と会うべきなのだ
それまで永い夢を見ていた初海は
人との出会いの中で
過去と向き合う力を養い、
心にあったシコリを吐き出し
永い夢から覚めて良かったと思った
そして私も、そんな初海を観て、会いたいと思う友達には、会える時に会っておこうと思った
私の人生はまだまだプラスの人生だからだ
みなぎる若さ
人はその一言で人生を表し、性格を現すと言ったのはどの脚本家だったか。
すっかり忘れた自分が言うのもおこがましいですが、形式ばった台詞が続くとその人の心情や背景があやふやになります。
台詞一つ一つは文学的で綺麗ですが、その人となりが見えてこず感情移入がしにくいです。
情景演出は説明的なのに登場人物のなぜそうしたのか?が分かりにくいのもそういった点故なのかなと思いました。
映像は美しいです。小物の表現が少しやり過ぎかなと思う部分もあったのですが、風景描写が詩的で心に訴えかけるものがあります。
特に手拭いのシーンは美しかったです。
主人公の演技もグッと来ます。儚い雰囲気と言葉の伝え方が良かったです。ベテラン陣も流石の貫禄でした。
そして何より、すべてを覆す若さがありました。同世代でこれだけの映画を作れるのは凄いと思います。
若さとパワーが映画の端々から伝わってきます。とにかく熱量が半端ない。
若い人たちに響く映画だと思います。
人生は失っていくもの
「ローマの休日」と並んで映画ファンなら知らない者はいない名作「カサブランカ」のオマージュだろうか、映画の中の名曲「時の過ぎゆくままに」が象徴的に、効果的に使われる。念のために書くが、沢田研二の曲ではなくて「As Time Goes By」のほうである。
主人公初海を演じた朝倉あきが素晴らしい。表情もいいし声もいい。過剰な演技をしないタイプなので派手な役は向いていないが、等身大の女性を自然に演じる、または自然に演じているように見せることのできる貴重な女優である。
映画は説明的な部分をなるべく省略しているが、物語が進む中でいろいろなことがおのずと明らかになっていく。春に亡くなった恋人がずっと心の中に住んでいて、どの方向にも踏み出せないまま時が止まったように毎日同じことを繰り返す初海の生活に、手紙や昔の教え子や思いを寄せてくれる藤太郎や教師の友人などが登場する。そのかかわりの中で、過去を尋ね、心の中のわだかまりを少しずつ解かしていく。
恋人の母親役の関根恵子の台詞が印象的で、溶けて流れてしまいそうだった初海の心を包み込む。冒頭のシーンで初海が喪服を着て桜の中を歩いた道は、もう夏になっている。漸く永い春が終わったのだ。
優しい人ばかりが登場する優しい映画だが、台詞やシーンが凝縮されていて、観る者の想像力によって現実感が増していく。ストーリーが進むにつれて散らばっていたシーンがジグソーパズルのように一体化していくのだ。心憎いばかりに見事な手法である。
朝倉さんの声に納得
監督はジブリの「かぐや姫の物語」の主役の声を聴いて朝倉さんを本作の主役に決めたと語られ、5月18日地上波での同作放映をじっくり聞いてみました 「四月の永い夢」では儚さの中に常にある主人公で、朝倉さんがピッタリだと思いましたが、「かぐや姫」を見てその声で本作の主役を決めた理由がわかったような気がしました 彼女自身も東宝のオーディション出身だったり、結構キャリアをお持ちですが、今後に期待しています 観て自分もちょっとリセットできたような作品でした 出町座にて鑑賞
描かれなかった3年間に思いを馳せる
とても上品で温もりのある、静かなる良作でした。
時間が止まっていた主人公が、その原因となった喪失体験と向かい合いうといったタイプの作品で、少しだけマンチェスター・バイ・ザ・シーっぽいなぁとの印象を受けました。
そんな細やかな変化をテーマに据えた映画なので、当然雑な作風ではなく、予測通り内容は丹念に描かれていきます。丁寧で繊細な地味映画を好む私にとっては、はっきり言ってド真ん中の作品でした。
何気にもっとも印象に残ったのはラジオでした。
主人公・初海は恋人を亡くし(多分自死)、3年間時が止まっています。そんな寄る辺なく四月の永い夢の中を漂っている初海は、意外とラジオに支えられてきたのかな、なんて感じたのです。ラジオだと、スピーカーの向こうに人の息遣いがあります。TVや音楽に比べ「人が側に居る感じ」があるのではないでしょうか。SNSとかだと今度は近すぎて揺さぶられる。初海が夢から覚める準備をするためには、ラジオとともに暮らす日々が不可欠だったように感じます。音楽もラジオを通すからこそ、初海に響いたのかもしれません。
また、初海が暮らす国立の街の雰囲気も素晴らしいです。バイト先の蕎麦屋も、お客とのコミュニケーションがあり、一緒に夏祭りに参加するなど、地域の縁が切れていない。だから初海も人の縁から切れないため、本質的な転落はしない。
志熊さんや楓との出会いによって、少しずつ現世とのつながりを取り戻していく初海ですが、描かれていない3年間で、喪失と向かい合う準備ができていたのではないかなぁ、なんて思ったのです。ラジオと街のぬくもりによって、初海は孤立せずに3年間に及ぶ四月の永い夢の中を生きれたのではないでしょうか。逆を言えば、初海には物語が始まるまでの3年間が必要だったように思えました。
また、蕎麦屋でバイトしていたという日常を生きたのもよかった。初海はおそらく実家に戻るという選択肢もあったかもしれませんが(初海の原家族は一切登場しないので、戻れない事情があったかも、でもそんなのはどうでもいい)、こらえてバイトを頑張ったのは凄い。
初海にとって、恋人の喪失のショックとおよびそれに関する心の澱で時間が止まっていたのですが、街やラジオに守られ、堪えながらもできる範囲の日常をこなしていました。なので、実は初海はちゃんと時間を生きられていていたのでは、と感じました。そのためか、富山での初海の告白は、機が熟してポロリと果実が落ちるような自然さがありました。
「人生とは得ることではなく失うことであり、その中で自分自身を発見していく」といった印象的な台詞がでてきます。実は得ることと失うことは表裏一体だと感じます。
喪失だけでは自分を発見できません。喪失と向き合うことで自分を発見できるのです。それすなわち新しい何かを得るということだと思います。
喪失と向き合うことは新しいスタートであり、それが冒頭に述べたマンチェスター・バイ・ザ・シーっぽさなのかなと感じました。エンディングも新しいスタートを示唆するものでしたし。
朝倉あきは綺麗ですね。皆さん指摘していますが声が良い。映画館で最近のインタビュー記事を見ましたがボブヘアになっており、あまり似合っていなかったな。
中川監督は若き俊才といった雰囲気。ちょっと懐古趣味が強いけど、それに酔っ払ってないのでオッケー。スマホでテーマ曲を聴きながら夜の歩道を歩くシーンは特に印象的。というかサウダーヂを思い出してしまったよ!個人的には追っかけてみたい監督です。
ラジオ
3年前に教師を辞めて蕎麦屋で働く女性が自身と向き合って行く話。
再開した教え子の変化や成長、染め物屋の青年との交流、友人からの仕事の誘い等を通じ、自身と向き合い歩き出す決意をして行くストーリー。
温かく優しく良い話だったけど、教師に戻ることへの戸惑いの理由が自分には理解出来ず…。
ラストのリアクションはなかなか響いた。
人生に立ち止まっている人の背中を、そっと後押ししてくれます
初日舞台挨拶あり。
中川監督の前作「走れ、絶望に追いつかれない速さで」という秀作のあと、次作をずっと待っていた。もう、予告だけでも泣けてくるこの映画。すでに見る前から気持ちは出来上がっていた。冒頭の郵便受けから手紙を受け取るシーンで、もう涙。この手紙の主、内容、そして受け取った初海の心情を想像してしまってたまらなくなる。とにかく、朝倉あきの、たたずまいと声がとてもこの役に似合っている。これまで何があったのか、どんな彼だったのか、語られる言葉がとても少ない。むしろ、だからこそ、こちら側の想像の余白は広く、その埋め方は観客にゆだねられているのだ。その想いは、志熊の視点と同じかもしれない。初海がどんな女性なのかは、蕎麦屋の働きっぷりを見ていればわかる。笑顔をみればわかる。もうそれだけで好きになるには十分なのだ。だから映画の中でもそこは必要ないのだ。
初海にとっては、立ち止まっていたこの3年。忘れたことはなく、だからと言って悲しみに暮れているわけでなく、ただなんんとなくそのままで。初海が彼の母に伝えた事実によって、観ているこちら側も辛い思いを共有してしまうのだが、おかげで一歩前に踏み出せたような気がした。そう、主題歌「書を持ち僕は旅に出る」のメロディに、背中を後押ししてもらえたような気分で。
今まるで、脳内で繰り返されるGIFのように、足元に菜の花が咲き乱れる桜並木を歩く初海の姿が頭から離れない。
初監督としては…
もともとが詩人と言うこともあり、冒頭詩的な要素から導入される物語。さながら新海誠映画のような雰囲気。さぞや…と期待したのだけれども続かず、シーン3あたりからこだわりが見えなくなるような演出ばかり。美術も新海作品とは違い、あっさりとしすぎて、どうにも気持ちが盛り上がらない。無理やり日本の伝統芸能を押し付けてくるわりには、地元の良さが伝わって来ない。まあ力っちゃあ力なんだけれども、とても海外映画祭で大賞とるとは思えない乱雑さに、少々混乱。とは言え、そこまでひどい映画とは違うのでまあ観れるんだけど。と言う内容。恋も人生にも、ようくも悪くも監督のあっさり感が出てしまってる感じでした。
最近よく見るスポッテッド配給作品よりはずっと良いので安心しました。
多くの方に観て欲しい
素晴らしい作品でした。しばらく言葉なく、ただただ余韻に浸っていたい、そんな映画でした。観終わったあと、心に柔らかな光が灯ったような、そんな気持ちになりました。
映像も美しいですが、朝倉あきさんの声と表情がすごくいい。静かで、穏やかで、温かい内容が朝倉さんと三浦さんの言葉や表情で紡ぎ出され、世界に引き込まれます。
ゆったりした時間を過ごしたい時におすすめです。
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