「神のごときスナイパー」ザ・ウォール ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
神のごときスナイパー
Amazonのオリジナル作品で、変則的なアイデア勝負の作品ですが、色んな工夫で最後まで緊張感をもって観ることができました。
戦争映画というよりスリラー映画、なんなら怪談にも近いと思います。
私はかなり面白かったし、好きです。
「アメリカン ・スナイパー」があまりに一方的で好きになれないので、これはちょうどいい毒消しになるかも。
見えない位置から相手を見下ろし、その行動に応じて生殺与奪の裁定を行うスナイパーというのは、戦場における神に似た立場。
たぶんそこがこの作品のテーマだと思いますし、その証拠に主人公の話も次第に告解じみてきます。
そもそもスナイパーって、映画的にはちょっと卑怯に見えかねないポジションなわけで、本来は主人公より敵側に置いた方がすわりがいいのかも知れません。
「プライベート・ライアン」ではさすがの老獪さ、作劇や撮影でうまいことカバーしていましたが。
主人公は兵士としてはボンクラかも知れないけど、ボンクラゆえの悲哀があるっていうことも劇中で語られます。
告解とはカウンセリングと同義で、絶望的な状況なのに主人公が妙に元気になっていくのはその表れでしょう。
姿の見えない相手の背景もよく聞けばわかるんだけど、主人公はそれを知ろうとはしない。
贅沢を言えば展開にもう一捻りあったら文句のない傑作になっていたかも。
でもコンパクトで見やすいし、オチも良かったです。
コメントする