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「黙示録の後始末」マザー! KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
黙示録の後始末
何か思わせぶりな割には何も起こらないな〜と思ってダラダラ見ていたら、いつの間にか不愉快極まりない展開となり、混沌に混沌を重ねて大地獄の世界に落ち行ってしまった。
なんだこれ、とにかく物凄いものを観てしまった。
やたら妻目線というか、ほぼ常に妻を追いかけるカメラワークが気になって仕方なかったけど、それによって観客の感情を妻に近付けられたのかなと思った。
来訪者全員最悪だけど、最初の死にかけ爺の妻には特に猛烈に腹立ったな…
家庭内での女性の立ち位置の辛さが極端に描写されるのが苦しく、ひたすら受難を受けつつ呻くことしかできない妻にじれったくなる。
床から染み渡る血液のようなものやたまに挟まれる胎児や心臓のような映像が彼女の心を表しているように思った。
あんなにされてもなお、愛が残ってるなんて。私だったら全員惨殺、特に夫は苦しめて苦しめて惨殺しないと気が済まないわ!
後半の暴徒な信者たちや勝手に形成される救い、戦場と化した家の中のシーンはもう強引極まりないんだけと予想外も予想外だしあまりにも凄まじかった。
殴られる妻が一番辛かったけど、あの辺はもうリアリティがほぼ無かったのが救いかな…
詩人の夫の態度や表情は本当に気持ち悪くてたまらない。
確かによく考えたら、よく語られる神様のしていることって客観的に見たら相当気持ち悪い。
宗教への強烈な皮肉と現代の人間達へのアンチテーゼをひしひしと感じた。
聖書をモチーフにしているらしくて、それっぽいシーンもあるんだけど、普通にひとつの家の中で起こる出来事を描いたスリラーとして面白かった。
終始不快で辛くて気持ち悪くて怒りが溜まってくるけど。
この世の一部の女性たちが観たら発狂して失神しそうだな…
劇場公開中止もちょっと納得だけど、試写に当たってスクリーンで観られたのが本当に良かった。