「題材は良いのに…。」累 かさね 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
題材は良いのに…。
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美しさと醜さ、嫉妬や欲望を鮮烈に描いた原作は14巻にも及ぶ長編。2時間には当然おさまらず、脚本の改編が物語のバランスを崩すのは原作モノの映画の最大の問題点だ。(作品の核となるエッセンスが継承されている良作もあるが。)
だが、それ以上に問題なのはしつこいくらいの“テレビ演出"だ。コンスタントに見せ場を作ろうとして、抑揚のない物語構成になるばかりか、わざとらしく垂れ流される音楽、明らかなオーバー演技や説明台詞など。
なにより、累の痛みを安易な叫び声で表現するのはどうか?したとしてもここぞという場面に抑えて、痛みを際立たせるべきだろう。劇中の人々同様、作り手はそれらしい“表面的”な演出しか出来ていないように感じる。
土屋太鳳の舞、芳根京子の最後の形相、檀れいの一瞬の情念など良い部分もあるだけに残念。もっとふさわしい人がやれば、いくらでも恐ろしく美しい物語となっただろうに…。
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