「サロメに見る絶演のリレーに感服しました」累 かさね bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
サロメに見る絶演のリレーに感服しました
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アタマおかしい人たちの訳わからん話を、若手女優の超絶演技力でゴリゴリに押しこんで来る映画。
最初の10分はホントに帰ろうかと思うくらい辛かったけど、見終わった今、この映画は当分忘れられそうに無い、って思ってます。おいてけぼりにされそうなマンガ感あふれる第一幕。それが二人の入れ替わり演技開始から様相が変わりだし、徐々に迫真の憎悪・嫉妬・独占・その他のあらゆるダークサイド心理劇へと変化して行きます。
最初は入れ替わりという超常現象により、互いが互いを利用するだけの関係。社会的に認められている人格=女優としての名声は、ニコイチで作られていると互いが気づいたところから、物語はどす黒さを増します。その工程の狂い具合は、二人の女優の好演によってリアルに胸に迫って来るのですが、この辺りの芳根京子の演技は素晴らしいとしか言いようが無い。
また、最後の劇中劇のサロメがしゅごい!
サロメの高すぎる自尊心は愛を憎悪に変えて行きます。一瞬の希望・胸の高鳴り・嫉妬・絶望など、あらゆる変化の後、征服欲が狂気に達する過程を土屋太鳳が演じます。狂気の果てに陥る虚無は芳根京子が表現します。ニコイチ女優を象徴する、このバトンリレーには感服致しました。凄かった、という言葉しか出てきません。
芳根京子、やっぱり好きだなぁ。私は、この子の演技が好きです。顔もセリフも無くても心理が伝わる。眠る土屋の顔を愛でるシーンの冷たい狂気。こんな女優さん、見たことない。
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