「全身全霊。」RE:BORN リボーン 山ユさんの映画レビュー(感想・評価)
全身全霊。
通常、映画は「観る」という表現を使うけれど、『RE:BORN』に関しては「体感する」という表現の方がしっくりとくる。
冒頭から何が起こっているかわからない、超絶スピードの戦闘シーンに遭遇し「今、自分はとんでもないものを目撃している…!」と思ったら、後はもう只々巻きこまれるだけ。そして、これはまだタイトルが出る前の出来事。
平穏な日常を守るはずが、戦いの中でしか「生」を感じられない男。主演のTAK∴演じる敏郎の戦闘シーンは鮮やかで美しくて、故に残酷。顔に泥で汚れ、傷がつき、血が流れるほど輝く。目に生気が宿る。観ている側はその戦闘に血を滾らせつつも、せつなくて仕方がない。
全体的なセリフが少なめなのも上手く作用している。行間を読ませつつ、うまく誘導してくれるので、感情を揺さぶられる。
と、いろいろ書いたけど、一番言いたいのはキャストもスタッフも全員が全身全霊をささげて撮った一本であるに違いないということ。これだけの熱量を持って撮った作品だから、観る方の心に当然刺さるし、何度でも観たくなる。
生きていると、壁に頭を打ちつけたくなるほど嫌な気持ちだったり、何だかわからないけど息苦しい…という状態になることがある。そんな時こそ、全身全霊のこの作品を体感して、心の中で叫ぼう。
「そんなんでもな…生きていくんだよ!!!」
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