「意外とシンデレラストーリー(不満そうな?)」ギリーは幸せになる asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
意外とシンデレラストーリー(不満そうな?)
母は娘を捨てた。
徹底的に いっぺんの未練もなく。
捨てられた娘は、里親を転々としながら育った。
心底 傷つきながら。
優秀だからこそ 大人のエゴや欲を敏感に感じ取るから。
彼女の優秀さをいち早くキャッチする学校の先生は
(あれ、あのNASAの えーっと「ドリーム」だっけ、あの人だ。あら、ギフテッドにも出ていたらしいが気づかなかった)
アメリカ、そしてイギリスもフランスも
子どもの虐待に対する意識は日本の比ではない。
一瞬でも一人にしたら
即虐待で一生我が子には 会う事さえ叶わない。
そういうバックボーンの中にあってさえ
いやむしろそうだからこそ
不幸な子どもたちは存在し続ける。
それは 親と子 というのは 心の問題だからである。
母親がなぜ 我が子を産みながらも母となり得なかったのか。それは母親の母親、つまり祖母との関係性の悪化だと想像出来る。
息子(ギリーにとっては母の兄) を溺愛しその息子は戦死した。
妹(ギリーの母)は兄ほど優秀ではなかったため 両親にとっては不満の子であったろう。
学校の教師の記憶に残る程に 名家の あまり出来の良くない生徒。
彼女は彼女なりに傷ついた。
裕福に暮らしたせいで なお始末に悪い。
彼女にとっての親子関係は 完全に破綻しており
彼女が生きて行くには母親との別離は必須だったのだろう。
娘を産むも 腕に抱きたいとも思えない程に彼女もまた傷ついていたのだ。
あなたはあなたでいる事で 十分なのだと 誰も言ってくれなかったのだろう。
主人公の少女ギリーは
この題名通り 幸せになる。
だが彼女の母親が今は幸せであるかは不明である。
ただ 居場所を見つけているのだろうという気はする。自分の母(ギリーの祖母)に唾棄しながら。
物語の中で みんながインフルエンザになって寝込んでいるシーンがあるが
あれがcovid-19だったら お亡くなり です。
アメリカの医療制度ってそういう感じでしょう。だから大勢が犠牲者となるんだよなあと思いながら見た。Amazonプライムにて。