「意外とシンデレラストーリー(不満そうな?)」ギリーは幸せになる asicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 意外とシンデレラストーリー(不満そうな?)

2020年5月8日
iPhoneアプリから投稿

母は娘を捨てた。
徹底的に いっぺんの未練もなく。

捨てられた娘は、里親を転々としながら育った。
心底 傷つきながら。
優秀だからこそ 大人のエゴや欲を敏感に感じ取るから。

彼女の優秀さをいち早くキャッチする学校の先生は
(あれ、あのNASAの えーっと「ドリーム」だっけ、あの人だ。あら、ギフテッドにも出ていたらしいが気づかなかった)

アメリカ、そしてイギリスもフランスも
子どもの虐待に対する意識は日本の比ではない。
一瞬でも一人にしたら
即虐待で一生我が子には 会う事さえ叶わない。

そういうバックボーンの中にあってさえ
いやむしろそうだからこそ
不幸な子どもたちは存在し続ける。

それは 親と子 というのは 心の問題だからである。

母親がなぜ 我が子を産みながらも母となり得なかったのか。それは母親の母親、つまり祖母との関係性の悪化だと想像出来る。

息子(ギリーにとっては母の兄) を溺愛しその息子は戦死した。
妹(ギリーの母)は兄ほど優秀ではなかったため 両親にとっては不満の子であったろう。
学校の教師の記憶に残る程に 名家の あまり出来の良くない生徒。

彼女は彼女なりに傷ついた。
裕福に暮らしたせいで なお始末に悪い。

彼女にとっての親子関係は 完全に破綻しており
彼女が生きて行くには母親との別離は必須だったのだろう。

娘を産むも 腕に抱きたいとも思えない程に彼女もまた傷ついていたのだ。
あなたはあなたでいる事で 十分なのだと 誰も言ってくれなかったのだろう。

主人公の少女ギリーは
この題名通り 幸せになる。

だが彼女の母親が今は幸せであるかは不明である。
ただ 居場所を見つけているのだろうという気はする。自分の母(ギリーの祖母)に唾棄しながら。

物語の中で みんながインフルエンザになって寝込んでいるシーンがあるが
あれがcovid-19だったら お亡くなり です。
アメリカの医療制度ってそういう感じでしょう。だから大勢が犠牲者となるんだよなあと思いながら見た。Amazonプライムにて。

asica