「スペインのお国自慢」J ビヨンド・フラメンコ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
スペインのお国自慢
フラメンコは情熱の国スペインの代名詞のような有名な舞踏だがタイトルの「フラメンコを越えて」とは何なのでしょう・・。どうもホタと呼ばれる民族舞踏がテーマらしい。
スペインの舞踏史をひも解くと
・フラメンコ(Flamenco)スペイン南部のアンダルシア地方を中心伝わる芸能で国際的にも有名なジプシー発祥の情熱的な舞踊、スペインの無形文化遺産
・ボレロ(Bolero)
16世紀劇場芸術の一部として発達したバイレ・クラシコ (古典舞踊)。
・ファンダンゴ(Fandango)
スペインで最も有名な、活気があり明るいスペイン舞踊。
・ホタ・アラゴネサ(Jota Aragonesa)
北スペインのアラゴン発祥。速いテンポと手を高く上げカスタネットをたたきながらカップルで踊るのが特徴。
他にもサルダナ(Sardana)、ムニェイラ(Muñeira)、サンブラ(Zambra)、パソ・ドブレ(Paso doble)など、なんとカタルーニャ地方だけで200を越える舞踏派があったというからスペインはまさに民族舞踏の宝庫なのですね、本作のホタはフラメンコのルーツともされ北スペインに留まらず民族舞踏の総称のように扱われています。
ドキュメントですが解説めいたナレーションも無く只管、踊りや歌、演奏が続きます、ホタのルーツは求愛ダンスだったらしいですがまさに腕を上げて細かいステップを踏む様子は小鳥のそれのようにも思えますね。
そんな古典ですが後半の作品は時代と共に洗練と言うか他の影響を受けて様変わり、踊りもクラシックバレー顔負けの優雅さやピアノもまるでビルエバンス風にジャージ―でした。あのチゴイネルワイゼンで有名なサラサーテのホタがあったのには驚きましたが、スペインの人なので魂のルーツだったのでしょう。スペイン人が自国の伝統芸能を誇りに思って情熱的に描くのは至極当然ですが、醒めた目で観るとまるでスペインのお国自慢、さながらプロモーションビデオのようにも思えます。正直、前半は似通った踊りが続くので思わず時計を見てしまいましたがなんとか最後まで鑑賞できました。