劇場公開日 2017年8月4日

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「ゴヤ賞の基準は分からなかったですが」静かなる復讐 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ゴヤ賞の基準は分からなかったですが

2017年11月25日
iPhoneアプリから投稿

リベンジモノというとほんと、カオスと猪突猛進な熱意、そして腕っ節!という印象があったのだが昨今の復讐劇っていうそうじゃないのが流行りなんでしょうか。
フツーの一般人が咄嗟にやってしまって、やり始めたら成し遂げるしかなく、ズタボロになりながらも全うするような展開。少し前に『ブルー・リベンジ』を観たのでやたらそう感じてしまった。あれと比べれば今作の主人公ホセの方がまだ計画的であったが。(とはいえ計画的だったのは掴みの部分だけ…)

強盗という1つの犯罪について、巻き込まれて誰かが死んでも当の犯人達にはあまり記憶に残らないのかもしれない。復讐される犯人達は皆デリカシーがなく、口から出る言葉のみで後悔を謳う。自分達のせいで収監されていたクーロにも、謝罪よりも面倒に巻き込むなという意思ばかり押してくる。ホセの家族が犠牲になっていた事などオマケのアクシデントのようだ。最初の殺人で震えながらキレたのも無理はない。
ホセが犯人達と会話もしようとしないため、目的が後悔の念を確認したいのではなく奪われた悲しみを同じように返す、シンプルな報復行為である事が分かる。
クーロにすら今後の予定?を打ち明けないまま案内だけさせて静かに事を済ませていくホセはクールで、感情移入してしまう。

タイトル通りの作品だとは思うけど、絶賛される、という万人ウケする映画だとは思わなかった。リベンジバイオレンスにちょっと飽きた人が箸休めに観るのがいい気が…。

幸ぴこ