「対立軸の〝グラウンド・ゼロ〟」おクジラさま ふたつの正義の物語 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
対立軸の〝グラウンド・ゼロ〟
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絶望的な敵対関係の様相を何とか紐解きたいという意思の中で逡巡する作品。
人間の本質の一端が覗けるようなドキュメンタリーに仕上がっている。立場だけではない、それぞれの思い、それぞれの信念、そして未来への思惑が入り乱れ、混沌がそこには渦巻いている。そんな暴風雨の中で、一人のアメリカ人ジャーナリストが単なる好奇心だけで太地町へ飛び込み、町人と接することでボタンの掛け違いを解き明かす努力を続ける。
お互いが『正義』を主張し、相手を屈服させようと激しさを募らせる。しかし、その実、お互いが後ろめたさも又内包しているので、それを隠すために通常以上のオーバーアクションを起こさざるを得ない。全くもって馬鹿馬鹿しい顛末である。
とことん不完全な動物である人間の浅はかさを見せ付けられる作品だ。只、ドキュメンタリーとすれば、もっとお互いの深いところの本音を引き出して貰いたい、そんな欲求を感じさせられた。
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