劇場公開日 2018年9月28日

「現代時代劇の秀作」散り椿 marumenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現代時代劇の秀作

2022年7月24日
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 時代劇の魅力の一つは、過去の日本人がそうだったであろう、不純物のない無垢な人の心が表現されている点だ。悪もしかり。だが、本当のところはわからない。昔の日本人はこうあってほしいと理想し、現代人が作り上げたファンタジーとも言える。この映画をリアルファンタジー時代劇映画とでも言っておこうか。
 今回、WOWOWで録画したものを視聴。映画館で
見たかった。
 この映画の魅力を3つあげるとしたら、まず一つはリアルというか、リアルに見える点だ。江戸時代の風景、空気が違和感なく感じられる。
 二つ目は、役者陣の素晴らしさ。すべての配役に穴がない。これだけ役者が揃っている映画、最近あまりないんじゃないか。
 三つ目は、殺陣の迫力。岡田准一には本当に剣の強さを感じた。冒頭のタテに始まり、中盤でもところどころで見せて、クライマックスの返り血を浴びるシーン。物語の流れにも合っていて素晴らしかった。
 監督が木村大作氏と後で分かったのだが、映像美はさすがだ。黒澤明の意志を受け継いでいて、次の世代に引き渡してほしい。
 ただ、若い女性キャラクターたちが、余りにも男目線からの理想化された女性像になりすぎているような。あんな女性たちが間近にいたらいいけどね。
 他にも気になる点はあったが、総じて良い点が多かった。暗くて地味な映画だが、もっとたくさんの人に見てほしい作品ですね。

marumen