劇場公開日 2018年9月28日

「美しさ溢れる威風堂々とした時代劇」散り椿 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美しさ溢れる威風堂々とした時代劇

2022年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

これほど、美しさに溢れた作品を私は知らない。美しい映像、美しい音楽、美しい殺陣、美しい景色、そして、美しい夫婦愛、等々。また、どのシーンも完成度が高く、無駄な動きは極力排除しているので、落ち着きがあり、威風堂々とした正統派の時代劇として堪能できる。

本作の主人公は、剣の達人である扇野藩士・瓜生新兵衛(岡田准一)。新兵衛は、藩の不正を暴こうとするが、追放の憂き目に遭う。8年後、新兵衛は、妻・篠(麻生久美子)の最期の願いを叶えるために、再び藩に戻り、8年前の不正の真相に迫っていく・・・。

本作では、真っ直ぐな生き方をする二人の武士が登場する。新兵衛と彼の親友・榊原采女(西島秀俊)である。この二人を演じている岡田准一と西島秀俊のイメージにピッタリの役どころである。不器用ではあるが自分の生き方を貫いていくことの崇高さが、程良く妥協してきた我々とは真逆であり、胸を打つ。

従来にない斬新な殺陣が際立っているが、中でも岡田准一の殺陣は絶品。通常、殺陣は、太刀さばきなどの動的な部分が重視される。しかし、彼の殺陣は、動的な部分ばかりではなく、殺陣の始まり、途中、終わり、での静止の部分が素晴らしい。静から動、動から静、と続く殺陣は洗練されていて美しい。

本作は、終盤までは定番のストーリであるが、淀みなく展開されていて見応えがある。敵役である家老・石田玄蕃役の奥田瑛二の狡猾な悪党振りが奏功し、新兵衛と采女の真っ直ぐな生き方が強調されている。終盤は、一変して生臭いリアルな展開になる。従来の時代劇では、終盤は、武士道を踏まえているが、本作は、彼らの真っ直ぐな生き方に寄り添った終盤になっている。

真っ直ぐな生き方を描くには、作品が真っ直ぐしている必要がある。本作が美しさに溢れているのは、真っ直ぐな生き方に真摯に向き合っているからである。新兵衛と采女の生き方が美しいからである。本作は、彼らの生き方が心に染み渡る良作である。

みかずき
たなかなかなかさんのコメント
2022年4月12日

みかずきさん、コメントありがとうございます😊

こちらこそ、宜しくお願いいたします🙇‍♂️

本格的な時代劇を劇場でもっとみたいのですが、中々難しいのでしょうね…😢

たなかなかなか