「日本人の美意識」散り椿 suuhiさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の美意識
「眠くなった」「ひどい脚本」「全てが古くさく、カビ臭い」「武家の剣術ではない」あげくは「○○のおでことカツラが合わない」など、否定的な感想文を読んでいて、ひと言書きたくなった。
映画を観た後に、ストーリーがよく飲み込めない部分があったので、原作を読んでみたが、正直なところ、人物設定などを変えて2時間という枠に収めなければならなかった映画のほうに軍配をあげる。
ただ、観ていて物足りなかったのは、脚本のセリフがカットされ過ぎていたからだろう。原作ではこういう言葉も出てくるのに・・・といくつか思った。
映像美については、モントリオール世界映画祭で「絵の(ような場面の)連続だった」という理由で、審査員特別賞を受賞している通りで素晴らしい。
映画館を出た時には、「うーん」という何とも微妙な読後感しか無かったが、何日も経ってから、もう一度観たい場面や、「大切に思えるものに出会えれば、それだけで幸せだと思っている」という言葉が、心に問いかけるようによみがえる。
岡田准一さんがセリフを低めの声でやっていたが、音楽も武士の厳しさをチェロの重厚な音色で奏でていた。
監督も脚本も音楽も「古くさくカビ臭い」のではなく、日本人が忘れかけている美意識の「本道」を、見事に具現化したのではないか?
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