アメリカン・バーニングのレビュー・感想・評価
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家庭崩壊
主人公シーモアの高校の後輩で作家のネイサンが語る、かって皆からヒーローと慕われた男の世にも不幸な半生の物語。原作者のフィリップロスは舞台となったニューアーク出身ですし67年の暴動騒ぎも26人もの死者を出した史実ですからひょっとして実在のモデルがいたのかとも思わせますね。
ベトナム反戦や黒人差別に絡んだ左翼派の爆弾テロに関係した一人娘メリーの暴挙によって他人も羨むようなアメリカンドリームの家庭が一挙に崩壊、日本の「積み木崩し」の流れに似た、親世代としては遣り切れないストーリーです。
日本でも反戦運動が起こりましたから若者世代が社会の欺瞞性に反旗を翻すのは理解できますが余りにも極端な展開ですのでメリーの性格形成過程が気になります、美人過ぎる母への嫉妬や吃音コンプレックスなど匂わせますが奇行に走ったり身勝手な言動は母親の遺伝かも知れませんね。
娘と同じような年頃の女の子が売春婦まがいに振る舞ったり、ストレスからの現実逃避としても不倫する妻などのシーンは傷口に塩を塗るようなエピソード、必要だったのでしょうかね、とにかく暗い話なので気が滅入るばかりです・・。
3.4点 まあ良かった気がする
総評は3.4点
それなりに良かった気がする。
特に、当時のどっかの思想をパクって、研究もしてない感じの過激集団の意味わからん主張が、滑稽で逆にリアルだった気がする。この「話通じる気ない感」はもどかしさを感じたので、作品として成功していたと思う。
ある思想について自分の言葉で考えているのではなく、ただ「世界を壊したい」鬱憤晴らしの材料に使われてしまう場面もよく表現できていたと思う。
「世界は今どれくらいの人が死んでいるのかわかっているの?」というセリフも良かった気がする。主人公の社長は、今できることを着実にやって目の前の世界に影響を与えている。一方で学生諸君は、世界を変えようと爆弾を持ち込む。とても学生らしい「現実逃避」も表現がうまくできていたのではないだろうか。
また、主人公の娘の吃音や絶世の美人、スーパーヒーローとしての主人公の葛藤、精神的な関係性などもそれなりに良かったのではないか。
ただ、総評としては3.5点には及ばなかった。というのも、残るものがなかったのだ。共感すべき点が、心動かされるものがなかった。悪く言えば、少しずつちょい出ししすぎてどこを見ていればいいかわからなくなったのだ。テロリストなのか、妹なのか、妻の不倫なのか。いやこれはこれで主人公の悲惨な人生と表現と見れば、成功しているのかもしれない。
操作や爆弾犯を追いかけるエンタメよりのものを求めると少し物足りないと思うが、個人的にはそれなりに良かったと思う。
難しい
なんか違う!それは違うよ!と声を大にして言いたいのに、なぜ違うのかを説明出来ないもどかしさを覚えながら観ていた。難しい。
反戦運動。単なる若気の至りとか、やんちゃとか、そんなことではない。人を殺してしまうのだから。
自分は正しいことをしているという思い込み。(もちろん間違っていないこともある。)戦争に無関心でいる周りの人達、それが家族だとしても憎しみをぶつけてしまう。度が過ぎたり、洗脳されたりしていく怖さは本人達にはわからないのか。
社会への不満をぶつける前に家族をリスペクトしようよ、と言いたい。
あのリタという女の子は結局なんだったのか?そこがよくわからなかった。単なる大金泥棒じゃんね。
この解説には妻の不倫とあったけど、それはかなり後の方のおまけみたいなことで、大部分は娘のこと。離婚するかと思ったらしてなかったし。
人生ってなんだろうね、と考えさせられる作品でもあった。
主人公の弟役のルパートエバンスは人形少年に出てた人だった。
重厚
袋製造会社を経営するユダヤ系アメリカ人の長男として生まれたシーモアは、高校時代はスポーツのスター選手として活躍、社会に出るとビジネスで成功して美しい妻と娘にも恵まれ、順風満帆な人生を歩んでいた。ところがある日、妻の不倫が発覚し、さらに思春期の娘がベトナム戦争反対を掲げる過激派グループに加入してしまう。娘は爆弾テロ事件の直後に行方がわからなくなり、シーモアは何年にもわたって彼女を探し続ける。ようやく見つけた娘は自分のしたことへの罪悪感から信じられないような隠遁生活を送っていた。アメリカの裏の顔を描いた作品。
これは40数年ぶりの同窓会で出会ったシーモアの弟から語り手の作家の視点から語られてゆく。そして葬儀に参列した彼は最後に娘が来るのを目撃するのであった。
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