静寂(しじま)に抱かれる女のレビュー・感想・評価
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台詞レス
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この作品も、OPピクチャーズ+のテアトル上映前に、成人映画として観に行ったもの。作品として冒険的なのは、台詞を一切発さないということ。その世界観は確かに独特な雰囲気を醸し出していて制作者の意欲を叩き付けられる作品である。その世界観からか、どこか違う別次元の宇宙観と、しかし現代の闇を巧く溶け合わせていて、かなり香ばしく仕上がっている。
ストーリー展開も先が読めない変調を帯びた転がり方で進む。台詞がないという演出方法なので(※正確には1回だけ台詞をいう場面があるのだが・・・)、動きだけで会話や関わりを表現しなければならない。但し、泣声、喘ぎ声等、言葉にならない声は許されているようだ。あ、喋っちゃダメという縛りの世界設定ということではなく、演出方法がそうということを間違えない様に。
色々な伏線を張りつつ、結局そのどれも回収されないという裏切り感、虚と実が綯い交ぜになりながら、言葉を発しないクールとシュールに頭がクラクラしながら進行していく摩訶不思議なテイストを発酵させながらも、結局ハッピーなのかバッドなのか帰結せずに淡々とエンドロールに替わるところにつかみどころのない危うさを兼ね備えたフィルムノアールに仕上がっている。あれだけ殺人が繰広げられても警察が一人もでてこない世界観に、漫画ガロのような不気味さを感じずにいられない良い意味での居心地の悪さを訴えかける作品であった。
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