「うなじのにほい」きみへの距離、1万キロ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
うなじのにほい
欧米人が出演しているが監督は韓国人。古舘伊知郎が推薦していたので観てみるかと・・・
結論から言うと、かなり勿体ない映画だったかなぁと・・・ストーリー自体は、劇中にも出ているが『ロミオとジュリエット』を重ねた内容。しかし、何故か途中でロミオ役が油泥棒になった挙げ句(まぁ、二人で駆け落ちするための費用を工面するためなので破綻はしていないが)、事故で丸焼けに。そこで、その悲しいカップルを助けようとしていた遠隔操作のロボットをアメリカで操縦していた男が、何故か間男じゃないけど、ちゃっかり次の恋人になってしまうという、少々強引な設定となっている。だからかなのか、今イチ感情移入がしづらい展開なのである。途中に出てくる盲目のお爺さんに教えを請うた運命の人の見分け方の答えの『うなじの匂い、そしてキスの感覚で分かる』ってのも、ラストシーンに匂いを嗅ぐ所で伏線回収なのだが、だから何?って感じで、深みがサッパリ無い。警備会社の存在意義である『敵がいないと仕事がない』件も、一応、仕事の意義の希薄さや空虚感を表現しようとしていたのだろうが、そこに主人公の苦悩を落とし込んでいる演出が薄い。そう、何だか今作品は全て希釈されたような空気感なのだ。深いことを言っているようでいて、でも中身が乏しい。そんなアメリカンコーヒーみたいな感じを結局最後迄纏わり付く内容であった。ロボットが攻殻機動隊の『タチコマ』みたいな感じをもっと出してくれたら演出にスピード感が出て、しかももっと深い演出が出来ただろうと思う。CGを使っているのかどうか分からないが、こういうジャンルなのだからもっと多用してもいいのではと思うのは自分だけだろうか・・・
唯一良かったのは、ヒロイン役の女性。モロッコ系フランス人ということだが、流石、オリエンタルビューティーである。