「バイアスの掛かったドキュメンタリー」米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
バイアスの掛かったドキュメンタリー
ユーロスペースに来るたびにトレイラーで見て気になっていた『#米軍が最も恐れた男:#その名はカメジロー』。沖縄の政治家 #瀬長亀次郎 の対米施政権の活動を追ったドキュメンタリー。
彼自身の演説(音源の残らないものは大杉漣が朗読)やインタビュー映像の語りぶり、そしてそれに今なお魅了されている高齢の沖縄の人々の思い出語りを見ると、いかに瀬長という人物が魅力的であったかが伝わってくるわけだが、一方で、見ながら自分自身が「これは警戒しなくてはいけないやつだ!」というセンサーが働くようなアジテーターという印象。
そういう側面から、レーニンや毛沢東ってどういう人だったんだろうという興味が惹起されました。
他方、こうした「国土」の問題では、沖縄の人々と本土の人々とであまりに温度感が違うし、それゆえにそこに対する意識や知識が違うということを思い知らされる。
作品の冒頭近くで触れられる「天皇メッセージ」(1947年9月)は、どうやら沖縄の地方紙ではしばしば取り上げられるらしいのだけれど、私にとっては初めて知るものだった。日本国憲法が施行(1947年5月)されて「象徴」となった後の天皇陛下の政治発言はどこまで公式のものなのかというのは疑問が残る。
本作品はTBS製作のテレビ番組を拡大したもの。瀬長の活動の記録を共産党との関わりにほとんど触れずに描いたTBSの意図がどこにあるのかということも気になる。
2017年 通算32本目
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