「重くないがスパッと斬られた」米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー shigeさんの映画レビュー(感想・評価)
重くないがスパッと斬られた
沖縄と戦争というと沖縄戦の方が数多く取り上げられてきたが、この映画は戦後の沖縄の苦難をテーマとしている。戦後の苦難というと私達の祖父母の代は一様に味わったと教えられてきたが、沖縄の人たちが耐え忍んだそれは、我々の祖父母たちが耐え忍んだものとは全く別次元だということを知らされた。日本本土を占領したGHQの目的は、日本の民主化であったのに対し沖縄を占領したアメリカ軍の目的はアメリカの世界戦略達成のための沖縄統治であった、そのため沖縄の人々はさながら植民地支配を受けていたこと、平和憲法を制定し高度経済成長を謳歌した本土と狂った軍国主義の下米軍を巻き込んだ捨て石作戦を強いられ、それによって米軍による軍政下に長く置かれた沖縄、両者の戦後史の決定的相違を私達は認識しなければならない。最後に、衆議院議員となった亀次郎が佐藤首相に「日本国憲法の恩恵に浴していない地域があることを認識しているか」と問いただすシーンがあるが、個人の意思に反して軍用地を半永久的に提供させられている人々を放置し続けることは、不正義この上ないことなのだということを強く感じた。
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