「名優2人の真に迫った演技に見惚れる。」ロング,ロングバケーション バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
名優2人の真に迫った演技に見惚れる。
年老いた夫婦が、自分たちがどんな最期を迎えるべきかを考えながら、人生最後の旅をする。夫はアルツハイマーで妻は末期がん。よくあるといえばよくある老人話だし、痛切といえば痛切な話である。
ところが、夫婦を演じたヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドは老いというテーマと真正面から向かい合い、決して悲しむべきものとして演じていない。人生には必ずや訪れる局面と折り合いをつけようとする夫婦(主導権を握っているのはボケていない妻の方だが)を、溌剌と、そして楽し気に演じているのである。
やせ我慢というのではない。老いたからといって心が老いるわけでもない。いや、老いる部分もあればいつまでも瑞々しい部分も、どちらも持っている。そんな当たり前であるべきことを、あくまでも平易に、これ見よがしの熱演に頼らず、愛嬌をもって描き切った監督と出演者たちに拍手を送りたい。
ちょっとよくある感動話だと思って舐めていた。これはかなりの拾い物である。
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