「心に潜む狂気」イット・カムズ・アット・ナイト 梅吉さんの映画レビュー(感想・評価)
心に潜む狂気
本作は、少し前に公開されたクワイエットプレイスと似たような設定で、世界を滅ぼした「何か」から身を守るために、人里離れた山奥に隠れて生活する家族の話となっている。
しかし、クワイエットプレイスより本作の方がよりダークで人間の内面や心理描写に焦点を当てており、外から迫る死の恐怖と、閉じ籠った家の中で疑心暗鬼になり、次第に狂気に飲まれていく登場人物が描かれている。
とりわけ心理描写の部分が凄まじく、外見的には普通にしている人物でも心は恐怖に蝕まれており、人間が内面から壊れていく様が丁寧に描かれているのが、恐ろしくも非常に良く出来ていると思う。
もしかしたら人類を滅ぼしたアレが、人間を内面から蝕んでいく物だったのかもしれないが、真意のほどはわからない。
映画を見終わっても「そういえばあの場面ってどういうこと?」など疑問な部分が何箇所かあったので、考察の余地がかなりあると映画だと思う。
細かい所では、作中で使われるガスマスクや銃器などの小物類が良く出来ておりチープさを感じさせないし、人里離れた山奥の自然が美しく撮られているのも良い。
本作はかなり低予算で作られた映画だそうだが映画の内容は申し分ないので、極限状態に置かれた人間の怖さや切迫した心理状態など、ハラハラした展開が好きな人にオススメしたい。
やっぱり人間同士の信頼って、大事ですね。
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