「オスカー・アイザックがとにかく最高」THE PROMISE 君への誓い つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
オスカー・アイザックがとにかく最高
主人公ミカエルを演じたオスカー・アイザックの、悲しみや苦しみ、絶望、そしてそれに耐える演技はもう最高だよね。
どうする事も出来ない強大なパワーに打ちのめされて打ちのめされて、必死に手を伸ばすもあらゆるものが滑り落ちていくような徹底的に追い込まれていく役をやらせたら至高の人。
見るからに可哀想なところもたまらんのよね。
そんなオスカー・アイザックをイジメ抜くために「ホテルルワンダ」でルワンダの大量虐殺を描いたテリー・ジョージ監督が用意した舞台はアルメニア人弾圧。それと男女のもつれ。
もう次から次へとオスカー・アイザックをイジメる為だけに都合よく悲劇が襲う。
観ているこっちも「なんてことだ」の連発で耐えられなくなりそうだが、そこは直接的なバイオレンス描写が少ないお陰でなんとなく耐えられる。
テーマは違うところにあるのでいいとして、物語の核は三角関係のロマンスで、時代背景的にアルメニア人弾圧があるって感じで、この時オスマントルコで何があったのか?を知るには適さない。
むしろ予備知識として先に知っておいた方がいいかもしれない。
まあ、第一次世界大戦が勃発し、イスラム教のオスマントルコでキリスト教徒であるアルメニア人が弾圧されたってくらいで大丈夫だけどね。
アメリカ人ジャーナリストのクリスは正義、信念、勇気を持った戦う人、一方のミカエルは穏やかで弱い耐える人、どちらも善人だがタイプが全く違う二人の間を揺れながらもアナの気持ちが移っていく様子は良かったね。
こんな酷いことが起きている最中だからこそとも言えるし、同じアルメニア人だからとも言えるし、真実の愛なのかもしれない曖昧さがいいよね。
アナの想いに応えたいミカエルも、持参金まで受け取ってしまった婚約者に対して裏切れない気持ちとの間で揺れに揺れて、それがそこら中で起こっている弾圧と相まって、悲劇を生む。
そう考えるとアナからの好意でさえオスカー・アイザックを苦しめるための罠だったんだな。
一見いいことのように思える持参金も友もね。
ラブロマンスと弾圧が相互に補完し合うような良くできたストーリーで面白い。
そこに耐えるオスカー・アイザックがプラスされて見応えも充分。