「フレディの4オクターブ、ミニーの5オクターブ、そしてホイットニーの6オクターブ!」ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユー kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
フレディの4オクターブ、ミニーの5オクターブ、そしてホイットニーの6オクターブ!
と、70年代から80年代にかけてミュージックシーンを騒がせた海外アーティストたち。そのホイットニーを上回るマライア・キャリーの登場により7オクターブ時代へと突入した(あくまでも個人的な記憶です)。不思議なもので、なぜかこの4人(フレディはクイーン)のファーストアルバムはすぐに購入した。
デビュー当時のホイットニーは本当に愛くるしく、「Saving All My Love For You(すべてをあなたに)」に聞き惚れてしまった80年代。ギターでコピーして、C♯7-5からC♯7へと移行するコード進行がすムチャ好きになってしまった。ホイットニーといえば、このフラット5thやろ!と勝手に思い込んでいるほどです。
そんな彼女の人生を家族や関係者にインタビューして実像に迫った人物ドキュメンタリー。前半は絶頂期までの華やかなエピソードで綴っていたけど、後半になると、麻薬に溺れていって栄光から転落していく素顔を赤裸々に描いてあった。
しかも、家族は彼女の栄光にすがるだけすがって、食い物にしたような印象が残る。結婚相手のボビー・ブラウンは悪く言われてはいるが、「麻薬によって死んだのでは?」という質問には頑なに喋らなかったところがエラい。ドラッグのみならず、レズビアンの相手もいたとか、幼い頃に性的虐待を受けたとか、過去をえぐるような証言もぽんぽん飛び出すのだ。ちょっと待て。もっといいところをピックアップしようよ・・・。そんな思いも空しく、一文無しになったためにツアーに出て、絶頂期の声が出ないコンサートで途中退席する客が多かったとか、そんなみじめなエピソードが胸に突き刺さる。
いいシーンもあった。スーパーボウルの国歌斉唱、アパルトヘイト廃止後の南アでのコンサート、そして、何度も観た『ボディガード』を思い出して、永遠のディーバとして自分の心に留めようと決めた。でも、声が出なくなった姿も記憶されちゃった・・・どうしてくれんだ。