「初挑戦のソフィアが成し遂げたこと」ソフィア・コッポラの椿姫 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
初挑戦のソフィアが成し遂げたこと
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ソフィアの『マリー・アントワネット』のラスト、主人公マリーは馬車の窓越しにヴェルサイユの日々に「さよなら」を告げる。今回、ソフィアが初めてオペラ演出に挑戦した本作では、その冒頭、主人公ヴィオレッタが長い真っ白な階段をゆっくりと降りていくのだが、このシーンにも『マリー』と通じる“追想”といった意味合いが添えられているのを強く感じた。ノーラン組としてもお馴染みの美術監督、ネイサン・クロウリーによる舞台芸術は、この階段や窓といったモチーフを大胆に盛り込んでみせる。そこにヴァレンティノの豪華衣装も加わり、まさに三位一体(もちろん主演の演技や歌唱、オーケストレーションも絶品)。その一つ一つは個性的だが、ソフィアがしっかりと手綱を握ることで、各要素をしっかり一つにまとめて現代の観客へと提示してくれた。製作陣が希求したクラシックとモダンの融合は、こうしてソフィアの手により、しっかりと成し遂げられたのだ。
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