劇場公開日 2018年3月3日

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「演劇を知る松居大悟監督だからこそなせる技」アイスと雨音 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5演劇を知る松居大悟監督だからこそなせる技

2021年7月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

圧倒されるような熱量と、それに応えられなかったこちら側の感情の綻び。それすら悪くなかったと思える意欲作。

森田想のポテンシャルがとにかく高い。『タイトル、拒絶』でも思っていたけど、ここまで上手いとは。しかもワンカットで1ヶ月を描くわけで、スイッチの切り替え方に乱れぬ息遣い…全てが彼女のスイッチで回る。間違いなく本物の女優だし、もっと彼女を重宝しないと行けない気さえする。

その他にも『きれいのくに』などで話題に上がっている青木柚や『ジオラマボーイ・パノラマガール』の主要キャストの一人であった若杉実森(現・若杉凩)など、キャストも重層的。ただ、作中演劇同様に無名な人ばかりだったと思うと、改めてその選球眼と演技力に驚かされる。

舞台の中止に対しての悔しさは1番松居大悟監督が知っている。畑がそっちということもあって、温度やカラクリを生かした、ワンカットならではのトランスフォームも魅力的。そして、そこに漂う温度があまりにも詰まっていて辛かった。どれだけの準備をして、稽古をして、公演に立つのか…それを知っているからこその若者讃歌。しかもそれをMOROHAが代弁する。ちゃんと聴いたことはなかったが、優しい語りから転調しサビに入ると強い歌へと入る。スッと染み入る言葉に殴られて涙を流しながら、行き場のない若者たちのもがきを見ていた。ワンカットならではのラスト、大いに痺れてほしい。

ワンカット故に演劇パートを挟みながら1ヶ月を過ごすので、少々粗く物語として掴みにくいところはあるものの、魂がぶつかり合う刹那は見逃せない。泥臭くて真っ直ぐな、シモキタ舞台の若者讃歌。

たいよーさん。