「ある業界人間の死生観」101日 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ある業界人間の死生観
クロアチアのテレビの話と言うので、もの珍しさに惹かれて鑑賞。
劇中の番組「ハウスト」は6組のカップルに共同生活をさせ24時間、その様子を流すというもの、昔の日本のテレビ番組にもナスビの懸賞生活という観察日記的なものやテラスハウスのような共同生活をウォッチするリアリティ系のバラエティーが人気だったことがあるので奇異でもないのだが、映画では肝心と思われる参加者のエピソードは殆ど入らず、面白さが伝わらない。何を描くのかと思ったら作り手の方、プロデューサーを巡る家族ドラマ風でした。
脱線ですがスペインのCUATROという全国ネットのテレビ局ではクロアチアの無人島に裸の男女を送り込んで2、3日生活させ理想の相手を探させる「Adan y Eva」(アダムとイブ)というとんでもない番組があったそうです(www.cuatro.com/adanyeva/)。
(ここからネタバレ・・)
一風変わっているのは戦争が勃発しても番組が人気で続行、だから原題のThe Show Must Go Onなのでしょう。邦題の101日は放送開始から101日目に核ミサイルが飛んできてクロアチアは焦土と化すということ。どこと戦っているのかも描かれず、軍事拠点でもない人口100万の首都ザグレブに念の入った2発もの核ミサイルとはどういうことでしょう。
ともあれ、局の計らいで番組の収録場所が地下に移されていて参加者たちは生き残ったのだが状況を知らされずにいたので戸惑うばかりでした、というエピローグ。
何が何だか量りかねる変った映画でした、ネビオ・マラソビッツが製作・脚本・監督とのめり込んでいるので私的な思い入れがあったのでしょう。紛争の火薬庫でもあったユーゴ地域ですから核では無いものの地獄を経験したのかもしれませんね、極めつけの仕事人間、業界ドップリの父親でも最期に息子は助けました。観終わってみれば番組も核戦争も添え物で、ある男の生き様というか死にざまがテーマだったような気もします。