「史上最大の問題作」EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション サイマサさんの映画レビュー(感想・評価)
史上最大の問題作
なんでこんな事になってしまったのか。
監督及び脚本家の仕事を疑うレベルであり、エウレカセブンというコンテンツが大きく傷つけられた瞬間であったように思えてならなかったです。
箇条書きですが問題だった点を記載します。
※ネタバレを存分に含みます!読むときは気をつけてね!
※あくまで個人の感想です。理解に及んでいない部分はご了承下さい。
■シリアスギャグ漫画日和
以前までのエウレカにあったアーティスティックかつサブカルな可愛さ・美しさは一切ないです。登場人物も名前が出るまでマジで誰か分からないし、キャラの正確も崩壊気味です。ホランドってこんなワタワタしてたっけ?起用している声優もあいまって、顔面の作画がちょいちょいギャグ漫画日和がよぎります。
■ヒスママエウレカ
今回全てのキャラにおいてですがとにかく全員極端にヒステリックです。突然大声で泣きます。しかもその際の作画は、ジブリか細田守作品を連想させるようなものです。トトロのめいちゃんっぽいです。作中にエウレカがキレて女の子の携帯をぶっ壊すのですが、クラウドにデータがあるから・・・と新しい携帯を買ってあげそれが親子の絆を作るきっかけになってます。マジで・・?
■草薙エウレカ少佐
エウレカは少佐になりました。キャラデザもあいまって完全に攻殻機動隊の少佐みたいです。大人エウレカの趣味も酒と筋トレみたいなのでメスゴリラ感満載です。別名、鋼鉄の魔女(マジ)
■機能オタクしゃべり
とにかくLFOの性能や機能について死ぬほど説明します。とにかく早口で説明するので全く頭に入ってこないし、とにかく長いです。
■車内映画
宇宙という広大な設定があるにもかかわらず映画の大部分は車内です。車とバスで移動するシーンが映画の5割くらいあります。
■協賛ロゴ地獄
とにかく協賛の企業ロゴが死ぬほどできてます。その演出自体は今の現実世界とリンクしてる感じで嫌いではないのですが、シリアスなシーンでもバックモニターにガンガン表示されます。めっちゃ気になってシーンどころじゃないです。
■デューイ死亡ダイジェスト版
設定で6回まで魔法が使えるデゥーイ・ノヴァクですがエウレカに返り討ちにあいます。4回目と5回目はエウレカのセリフの下、一枚絵でダイジェスト版の死亡となっています。完全にギャグシーンです。なぜかターミネーター2のパロっぽい死亡シーンがあるのですが、話的にはかなり緊迫する部分だっただけに狙いが全くわかりません。あとデューイの魔法はエウレカいるところにワープすることです。
■アクシズ落しとサイコフレーム
マジで怒られるレベルで同じことをします。対象が惑星基地から軌道エレベーターと連結してた宇宙船にかわっただけです。デカい宇宙船が地球に落ちて人がたくさん死ぬようなので両軍が一斉に特攻して頑張って軌道を変えようとします。
エウレカが、みんな命を無駄にしないで!と叫びますがエウレカさんその前のシーンでめっちゃ敵兵殺してる気がしたんですが。(一応、エウレカが強すぎて相手を殺さずに制圧できる設定が今回から追加されたので敵兵は生きてるかもしれません。)
■レントン3分
レントンは最後の3分くらいしかでません。雑にエウレカと再開して概念になりました。あと、でっかいハートはとりあえず出しました。サイコフレームです。
■新キャラ
新キャラでマクロスΔのワルキューレみたいなのがでます。合体してでっかいロボットになってアクシズに特攻して死にます。
■ホランド雑に無駄死
ホランドはタルホとの間に子供を授かってます。(フラグ)出航前に勝手に名前を決められ「文句があるなら生きて帰ってこい」とタルホに言われます。(フラグ)アクシズに雑に特攻して死にます。(回収)
その後は結局エウレカが何とかしてしまうので無駄死にになってしまいます。あとゲッコー号には以前のメンバーが乗っていたのですが、特に特攻前の涙の別れシーンもなくいつの間にかみんないないです。ぬるっと下船してホランドに特攻させます。
今回の映画でエウレカから排除された要素は、
ボーイミーツガール
宗教と戦争
アートなキャラデザや作画
テクノミュージック
恋愛要素
追加された要素は
家族愛
です。
最後に良かった点を上げますね。
戦闘シーンの作画とマシンのギミックは近年のアニメ映画でもトップクラスに素晴らしいものでした。
問題は手長ニルヴァーシュがどうしてもダサく感じてしまうのと、かっこよかったLFOは総じてガンダムだったことです。
以上つらつら書いてしまいましたが、私自身、今までのエウレカセブンのコンテンツは全て楽しませてもらいましたし、一人のファンでもありました。
前回のANEMONEで「今まではエウレカの見てた夢。次が本当の話、本当のエンディング。少女の終わり。」とのメッセージを勝手に受け取り、どのような、今まで見たことの無い様な、アニメ界の歴史に一石を投じるような・・・。そんな期待を持ってしまったのも事実です。
設定を全て理解すればまるで魔法が解けたように面白くなる・・・というのもあるのでしょうが、正直その限界を超えていると思います。とにかく細部の話が全然つながらない状態で話が続くので展開はギャグだし、顔の作画もギャク感が出てしまうのでシリアスなストーリーとの乖離を強く感じました。
今回このようになってしまった事が残念という気持ちが大きいです。
お疲れ様でした。