「ザ・ゲージツ家」ジャコメッティ 最後の肖像 オイラさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・ゲージツ家
ジャコメッティが描いた最後の肖像画。
その『最後』の謎や真相を読み解く!…とかそういった類のストーリーではございまてん。
たった1日の約束でモデルを引受けた編集者兼作家のジェームスが、実際には20日かかった、その過程を綴った記録だね。
まぁそこには、最後の肖像画になった『理由』は描かれていたか…。
20日目にジェームスがあの行動に出ていなかったら、彼の肖像画は完成することはなかったワケで、その前の作品が最後になっていたワケだ。
ただ、完成というものを恐れ認めず、破壊と創造を繰り返してきたジャコメッティに、『その前』の完成があったか…ということの方が、もはや謎。
やはり『天才芸術家モノ』の映画は、ちょっとエキセントリックだったり、大胆さと繊細さを持ち合わせてたりする、その人物像が面白いよね。
その点で、このジャコメッティのキュートさってばNo.1レベルでしょう。
本当はもっと偏屈が立った人物だったのかもしれないけど、演じたジェフリー・ラッシュの、力量と役に対する愛情から生まれた魅力なんじゃないかな。
特に、失踪していたカロリーヌがアトリエに姿を見せたときの、あの表情!
柄本明もびっくりの『静』の演技…それ故に胸の奥底が響くんだ、観る側の奥底にね。
そして、高熱で寝込んだジャコメッティはオイラのダンナさんそっくりで笑えた。
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