劇場公開日 2017年8月12日

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「悪くないんですけど、もうちょっと何とか」フェリシーと夢のトウシューズ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0悪くないんですけど、もうちょっと何とか

2023年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

魔法もなし。秘密兵器もなし。アニメならではのダイナミズムも、コミカルな誇張も、特別かわいいキャラクターも出ず。
どうしてアニメで制作したんでしょう?全部、実写で撮れるシーンばかりです。
踊りのシーンも、きちんとコレオグラファーが付いて描いてあり、ある意味では美しい動きに徹していますが、例えば4回転ジャンプとか、アニメならではの演出があっても良かったんじゃないかと思いました。

キャラクターの内面も、主人公の女の子フェリシーが、どうしてバレエを志すのか、とか、もっと深い部分に切り込んで、描いて欲しかった。辛うじて、当代いちのバレエダンサーの踊りを偶然見かけて、それに憧れるシーンがありますが、それはパリに行った後のことで、動機にはなってないんです。孤児院に捨てられた時に、バレリーナのオルゴールが添えてあったことで、私はバレリーナになる!なんて考えたんでしょうか。そこんとこら、もっとていねいに描いて欲しかった。

「なぜ君は踊るんだ?」と言う質問がオーデイションの時にありますが、かなり拍子抜けする答えが返って来ました。

その他、イジワルで、鬼のような孤児院の監視役が、途中でキャラ変したり、幼なじみの男の子が、いつの間にかフェリシーに恋心を抱いたり、下働きの女性が、実は挫折した天才バレリーナで、フェリシーの鬼コーチになり、彼女はメキメキと上達して行きますが、何をもって、彼女の才能を見い出したのか、よくわかりません。

古い話で恐縮ですが、丹下段平があしたのジョーを見つけたように、それなりの、才能のきらめきがあったはずなのに、そこらへん浅いんです。

吹き替えも、基本的には合っていたと思いますが、プロの声優に任せた方が、的確にその時の感情を表現出来たんじゃないかと思いました。

なんか、全部平均的なレベルで、飛び抜けてここが面白い、というポイントがありませんでした。

うそつきカモメ