劇場公開日 2017年8月12日

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「オトナがハッとさせられる純粋なバレエアニメ。」フェリシーと夢のトウシューズ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0オトナがハッとさせられる純粋なバレエアニメ。

2017年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

子供向けアニメとなめてかかることなかれ。ストーリー的には単純で、バレリーナに憧れる少女たちに夢を与える、お約束の展開だ。しかしバレエの振り付けを、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督であるオーレリ・デュポンと、エトワールのジェレミー・ベランガールが担当し、ダンスのアニメーション描写は見事で美しい。

フェリシー役の声優をオリジナルはエル・ファニング、日本語版を土屋太鳳が務めるというのも注目である。

ありそうであまりない"バレエアニメ"。ある意味では、"スポ根"系であるが、90分でサクセスストーリーを仕上げるには厳しい。ダンスの素養があるにせよ、シロウトの主人公フェリシーが急成長しすぎである。

観客は、バレエを始めたばかりの小さい女の子たちと、そのお母さんが多い。びっくりしたのは、隣でチャイルドシートに座っていた5~6歳の少女が、フェリシーの挫折シーンで泣き出したこと。その純粋さにこちらがハッとさせられる。

設定が19世紀末のフランス・パリになっていて、建設中の"エッフェル塔"、"自由の女神像"が出てくる。特に"エッフェル塔"は、まるで「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)の"東京タワー"の描写に似ている。未来に向かって広がる夢を象徴している。

余計なツッコミかもしれないが、組み立て中の銅製の"自由の女神像"は、すでに緑青で"緑色"でいいのだろうか? また、"エッフェル塔"は1887年から1889年にかけて建設されたので、これは1888年頃と考えられる。アメリカに贈られた自由の女神像は、1886年にはニューヨークで除幕式が行われているので、パリにあるわけがない。とすると、これは1889年に完成したレプリカの方だろう。本物よりかなり小さい11.5mのものだとすると、今度は小さすぎる。

そんなくだらないことを考えるからオトナは不純だ…。

(2017/8/13 新宿ピカデリー/シネスコ/日本語版翻訳:小寺陽子/字幕:稲田嵯裕里)

Naguy