「Bring on The Dancing Horses」この世に私の居場所なんてない mos89さんの映画レビュー(感想・評価)
Bring on The Dancing Horses
Blue Ruinで見たトッチャンボーイな感じの俳優Macon Blairが監督している。imdbを見たらDirectorの欄がこれだけだった。だが映画には完成されたスタイルがある。
何か妙に共鳴するところがあると思っていたら、教会のシーンでEcho & the BunnymenのBring on the dancing horsesがまんま流れる。個人的に、かつて減るほど聴いた曲で、すごくびっくりした。
エコバニ(かつてそう略されて呼ばれた)のオリジナルアルバムには収録がなくPretty in Pinkのサントラに入っていた。ヒットしたOMDのIf you leaveやサイケデリックファーズなんかが入っていて、とても聴いたサントラだった。
共鳴は、おそらく監督と私の同世代に所以すると思う。
映画には、冗談なのか本気なのか、どっちつかずの空気感が流れている。
ルース(Melanie Lynskey)は真面目に生きているのだが、アンラッキーで、クライマックスに欠けた日常に嫌気している。X脚とポチャが特長。
トニー(Elijah Wood)は、わけのわからないタイミングでキレるが根はいい男。ヌンチャクと手裏剣を得物とするのだが、扱いは慣れていない。
ふざけているようでもあり、真剣なようでもある、その二人が、些細な盗難事件から、禍々しい運命に囚われていく展開が、うまく言えないが、とても映画的。
ルースがかなり偶然に救われるのだが、偶発的事象を不自然にしない雰囲気があった。
印象的だったのはChristine Woodsなる女優さん。きれいな人なのだが、この人のラリりっぷりが、完全に堂に入っていた。ほとんど素でラリってるとしか思えないほどハイだった。
映画にはEvil DeadやDont Breathでホラー常連と化した感あるJane Levyも出ているが、ありえねーって感じで死ぬのが、面白いというのもナンだが面白かった。
銃撃戦中にゲロを吹き出してるルースも笑えた。基調に諧謔があって、シリアスを単なるシリアスに収めない雰囲気が楽しい。
苦い結果に終わったのだが、また元の退屈な日常に戻ったルースに、トニーの幻影が微笑みかけるラストも、妙になごめました。