「女優として活躍するアイドルになったからこその副産物」あさひなぐ たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
女優として活躍するアイドルになったからこその副産物
4年ぶりに再鑑賞。乃木坂46のメンバーが多数出ているが、いづれも順調にキャリアを広げていて、それがこの作品の魅力を増幅している。
『サマーフィルムにのって』でドハマリした伊藤万理華を再確認したかった部分もあって観たが、やはり上手い。この頃はまだ流れを作るセリフ回しが目立つが、後にグッと引き込まれるような女優になったと思うと感慨深い。また、『ずっと独身でいるつもり?』で殻を破った松村沙友理も『シノノメ色の週末』の桜井玲香も、その当時の個性を引き伸ばした印象はあるが、今となってはそれがそれぞれのカラーとして放たれている。もちろん、西野七瀬や白石麻衣もいいのだが、まだアイドルのフックが付いてくる点を踏まえると、女優としての才能は前者の3人に軍配が上がる。
英勉監督の凄いところは、こうしてキャリアが未熟な俳優をブラッシュアップしながら作品の質を上げていく点にあると思う。『賭ケグルイ』もそうなのだが、漫画原作のボテッとしたキャライメージを上手く俳優と混ぜていくので、全然作られた様な臭みを感じない。特に乃木坂映画の側面を持つ今作に至っては、富田望生や中村倫也、江口のりこといったバイプレーヤーを使うことで、アイドル映画にならないようなバランスも取っている。その辺の演出と緩急の良さが光る。
内容は割と当たり障りない感じで、原作に沿っているのかは微妙なところ。なぎなたの魅せ方は上手いものの、どうしてもドラマが先行してしまっている感じは否めない。それでも演出による引き立てが効いているので、全編通して面白く思えるのが強い。
アイドルで固めたから、そうして斜に構えていた自分。こうして2回目を観たときの副産物がいただけるのも1つの魅力だと思う。純粋に楽しめた。
1回目2017/10/01@MOVIXさいたま
2回目2021/11/20@AmazonPrimeVideo