最低。のレビュー・感想・評価
全2件を表示
あなた今、変な仕事してない?
その手の性欲解消手段が好きな人ならば殆どが名前と顔が一致する『紗倉まな』原作小説を映画化したものである。自分は未読なのだが4つのオムニバス小説であるが、本作は3つの群像劇となっている。再構築したのか、小説通りかは不明だが、ある程度この三編は微妙に結びつけられていて、特に二編は後半収束されるプロットになっている。
いわゆる『AV』出演に対する諸々な個人的問題をベースにその本人や家族、その周りの外野へと影響が及び、差別や軋轢、批判や無理解をもたらす様を速いシーン割りでそれぞれが同時進行で展開していくというシークエンスとなっている。なので、始めの内は一体どれが誰のストーリーなのかごちゃごちゃになってしまう。只でさえそこまで有名な女優が演じている訳ではないので顔の判別が付けにくい。にも拘らず、回想シーン等も挟み込んでくるもんだから、前回とのシーンの整合性に時間が掛かってしまうことしきりである。シーンの切替で、食べる場面と次のシーンの飲むシーンとが映し出されてしまうともっと切り替えが覚束なくなるのではないだろうかと、勝手に批評してしまっているのだが、これは小説の表現を踏襲しているのだろうか?その辺りも不明なのだが・・・多分、強烈な意図がそこに表現されているのだろうね、瀬々監督のことだから・・・
よくありがちな、AV残酷物語の類ではなく、もっと自然な流れの中での葛藤を多用な例で表現してる作品である。例えが悪いがこれがAV出演ではなく、イスラム国に賛同して入国したいとかと同義かと思うのだが一寸違うかな?まぁそれ位この手の問題は身近でありながら下世話なイメージを孕んだテーマではある。やはり現役嬢が書いたという文章がキャッチーなだけに世間的に注目度がターボ並なのであろう。とはいえ、そんな矛盾したような想いの中での女性の出演決断というのは今作だけでは中々その真意を読み解くことはできなかった。外堀である外因(子供が出来ない 親や家族に対する孤独感)、そして実際、親の過去が自分を苦しめるといった問題は、多分、丁寧にそれを演じていたとしても、これこそ、その心理描写は謀りかねないものだ。特に男ならば・・・
今作には酷い男はでてこない。勿論職業側どこか頭のネジが飛んでいそうな人がいるが、それとて職業病なのかもしれないし、通常社会であってもそれ以上のサイコパスな人間は存在する。どうしてリスクを超えてまで女性は自分を表現しようとするのだろうか。その辺りは、野坂昭如が知っているのかもしれない(♪男と女の間には♪)
二編の収束は、それはそれで一定のカタルシスは得られるのだが、もうちょっと関係性を序盤に匂わせてもよかったかもしれない。でないと唐突に話がリンクしてしまうので戸惑いも又感じてしまったからだ。それと、最後の女の子の『日比野さん、私ね・・・』の台詞は必要だったのだろうか?思わせ振りな、テーマを投げかける作品にする意図が理解出来なかった。『何回人間になるかで人格が作られる』の部分も然り・・・
多分、今作品はあくまで女性が観覧すべき出来だったのかもしれないと感じたのだった。
全2件を表示