世界にひとつの金メダルのレビュー・感想・評価
全3件を表示
馬とだって、信頼関係が大事なんだな~
初めての鑑賞
体が小さくて見栄えの良くない馬だけど、飛越の上手な馬
主人公は念願のオリンピック出場を果たすが、競技途中で馬が飛越を拒否し失格となってしまう
一度は馬の売却を決めた主人公だが、馬との信頼関係を作ることからやり直し、4年後のオリンピック出場をはたす
そして完璧な競技で優勝を勝ちとる
人馬一体という日本語がぴったりの映画だと思う
お馬さんは人を見抜きます
主演・脚本のギョーム・カネさんは自身も馬術の競技経験があり伝説の馬術の金メダリスト、ピエール・デュランの挫折と栄光の綾なすドラマ性に惹かれて映画化したとのこと。
どこまで史実かは定かではありませんが映画ではピエール・デュランという人物は甘やかされて育ったボンボン気質、ロス五輪で落馬の屈辱、もう馬術は止めたと落ち込む日々。どうも軟弱過ぎて感情移入に至りません。
厩務員のラファエルに2分と厩舎にいたことがないのでは愛馬の信頼は得られないと喝破されるお粗末さ。父にも妻にもたしなめられ、悔い改めて精進して見事ソウル五輪で金メダル、めでたし、めでたしというお話なのですが、乗り手よりお馬さんの方が立派に思えてしまいます・・。
原題が名馬の名前(Jappeloup)なのは主役はお馬さんと皮肉っているようで笑えます。
(ここから脱線)
日本人としては馬術で五輪というと硫黄島で戦死したバロン西が思い浮かびます、1932年(昭和7年)第10回ロサンゼルス大会で、西竹一選手が愛馬ウラヌス号とともに障害馬術個人で金メダルを獲得しています。人間を描くなら西さんの方が余程数奇な運命に思えます。
先の東京五輪で跳ばなかった馬を殴ったとしてドイツチームのコーチが出場資格を剥奪された事件がありましたね、近代五種の馬術では乗る馬は選べないルールだそうですが腹いせはいけませんね。以前、北海道で体験乗馬しましたが道の草を食べてばかりで言うことを聞いてくれませんでした、やはり、お馬さんは乗り手を見抜くのですね・・。
フィールグッド・ムービー。それ以上でも以下でもない。
馬術の障害飛越競技でオリンピック金メダルを獲得した実在の選手と気難しい馬ジャップルーの栄光までの物語。フランス自国では恐らく英雄的な人、及び馬なのであろう。日本にも、オリンピックで国民的アイコンになったアスリートってたくさんいるものね。思い入れがある分、気合の入った映画作りをされていて、彼らが愛されているのを感じるような気がしてくる一方、実話であることと、主人公が自国を金メダルに導いた英雄であることが窮屈に働いてか、あまり物語としては冒険が出来ず、極めて分かり易い所謂フィールグッド・ムービーとして完成したような印象で、それもまたいとをかし、ながらも、やっぱりちょっと物足りないような気もしてしまった。この手の作風の極めて標準的な作り方すぎてしまって。
ストーリーがなかなか長期間の時間経過を描いているので、どうしても展開は急ぎ足の感覚になる。試合での敗北、馬の売却(未遂)、父の死、試合前の事故、棄権、コーチとの諍い、馬運車の火災・・・などと、次々に悲劇的な出来事が起こる。しかし実際はそれらの間に月日や時間経過があるのだけれど、映画としてまとめると、まるで悲劇のオンパレード。悲劇のダメ押しのように映ってしまい、ラストのオリンピック金メダル獲得までの苦労や苦難を押しつけがましいまでに見させられているような気がしてしまう。その割に、大事な部分(試合シーンもそうだが、初めは乗るだけで馬の世話は人任せだったデュラン選手がジャップルーとが心を通じ合わせていく過程だとか)は非常に撫でるようにさらりとあっさり描くだけにとどまって妙に説明的。印象的なエピソードを数珠つなぎのように繋げてあたかもドラマチックに演出しただけのような気がしてしまい、作品を観ながら、デュラン選手とジャップルーを心から応援したいという気持ちがなかなか芽ばえにくかったなぁと感じた。
そんな中で、特に目を引くのはやはり、馬の美しさと、障害飛越競技の様子だろう。少々気から馬術をやっていたギョーム・カネの馬の乗りこなしも美しいし、映画と馬の相性の良さも改めて感じるところ。ただ競技そのものの魅せ方は決して悪くはないとは思うものの、映画で描かれる大会が複数あるので、何度も試合のシーンを目にすることになるので、次第に見慣れてくるようなところがあり、最初は丁寧に試合を映していたのが、後半はどんどん試合のダイジェスト映像のようになってしまうのをありありと感じてしまって、最後のオリンピックの試合に行き付くまでの盛り上がりに欠いたかな?というのを思ったりもした。
全3件を表示