ニック NICK ラスト・フューリーのレビュー・感想・評価
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善と悪との単純な二元論では語れない現代社会の病巣をネチネチと描きます
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ポスターで主人公がスウェーデンの対戦車砲AT4を構えていますが戦争映画ではありません。
本作はドイツの公共放送ARDで日曜20時から放送されている社会派刑事ドラマTatort(タートオルト=事件現場)の969話の劇場版です。(一話完結でなんと1970年から続いているとい長寿番組)、本作は劇場版4部作の4作目。
「ニック/NICK 狼の掟」(2013)
「ニック/NICK リベンジ」(2013)
「ニック/NICK ハードペイン」(2015)
「ニック/NICK ラスト・フューリー」(2015)
映画の舞台はドイツ第二の港湾都市ハンブルグ、治安は良いとされているが娼館の並ぶ歓楽街レーパーバーンは危ないらしい。港の利権と売春目的の人身売買を巡ってロシアやクルド人、政治家やマフィアが暗躍する犯罪都市として描かれる。主人公はハミだし刑事、悪に立ち向かうヒーローなのだからタフに描くかと思ったら、お年のせいか格闘戦ではたいてい負けるしドジも踏むというのも珍しい。
アクションも多少ありますが妻を殺したマフィアのボスと主人公の腐れ縁、宿敵同士なのに何故か殺せない微妙な心理を描きます。幼くして国を追われ裏社会でしか生き残れなかったと語るマフィアのボス、悪徳政治家の自殺など善と悪との単純な二元論では語れない現代社会の病巣をネチネチと描くところはドイツ映画らしい気もします。
できれば3作目「ニック/NICK ハードペイン」を先に観てからの方が話が分かり易いでしょう。
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