「とても秀逸なミステリ作品」インビジブル・ゲスト 悪魔の証明 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
とても秀逸なミステリ作品
【鑑賞のきっかけ】
以前に鑑賞した「ロスト・ボディ」が秀逸なミステリであったため、同じ監督作品ということに興味を惹かれて鑑賞してみました。
【率直な感想】
結論的には、「ロスト・ボディ」と同様に秀逸なミステリと評価できます。
予告編を観ると、「密室殺人事件」ということが強調されていて、古典的なミステリ作品かと思ってしまいます。
しかし、確かに、「密室トリック」についての説明はあるものの、物語の主軸は、そこにあるのではないです。
不倫相手のローラという女性が殺害され、容疑者となった主人公の実業家・ドリアのもとに、グッドマンと名乗る女性弁護士が訪ねてきて、新しい証人が現れたため、法廷に呼ばれる時が迫っている、法廷戦術を早急に練る必要があると迫ってくる。
物語の大半は、この室内でのドリアとグッドマンとのやり取りで進行します。
グッドマンは、ドリアに隠し事をされていると困るからと尋問を始める中、浮かび上がってきたのが、3か月前に、ローラとの密会中に起こしてしまった交通事故。
対向車を運転していた青年が死亡してしまい、この事件の隠蔽工作を行ったことを、ドリアは告白する。
この交通事故と殺人事件との繋がりを巡り、ドリアとグッドマンの心理戦が展開されるのですが、緊張感が途切れることなく、物語に長さを感じさせることはありませんでした。
特に終盤近くは、グッドマンによる様々な推理が行われ、二転三転していくのですが、ミステリの面白さを思う存分味わえます。
そして、待ち受けている、意外なラスト。
【全体評価】
古典的な密室での殺人事件に、過去の交通事故を絡ませることで、容易に真相が見えなくなる中、ドリアとグッドマンとの緊迫感のある心理戦で、最後まで観客を飽きさせることなく、展開していき、ラストにはあっと驚く意外なオチ。
秀逸なミステリ作品として、高く評価したいと思います。