いぬむこいりのレビュー・感想・評価
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“”Hombre Nuevo“” by Guevara
確かに監督の言うとおり(上映後のトークショー)、かなりお腹いっぱいの作品ではあり、『披露されて疲労』だ。原作があるとのことだが、原作者と解釈の折り合いが付かず、やむなく自主制作という形で題名もひらがなにしたとのこと。そして、5千万円の借金(公称)そんな昭和臭漂う無骨な監督の作品だから納得する四部から成る4時間もの大長編作である。観る前に昔のように途中休憩あるのだろうかと心配したが、そこは昭和の香り、ありました、良かった^^
沖縄民話に読谷村で伝わる『犬の婿入り』という神話があるようで、その話をベースに、女教師が奇天烈な運命に翻弄されていくというプロットである。その運命は4回に渡り、厭が応無くその女を弄ぶのだが、それぞれの始めのシーンは食べるところからスタートしていく。まずは食欲を満たさないと、ということなんだろう。
ただ、今作の内容、政治的な思想感は、塗してあるのにそういう臭いが全くなくあくまでも物語の一つの構成要素にしか過ぎない。地方にある、そこの首長が牛耳っている独裁的な町の事や、はたまた未だに戦争を70年も繰広げている島の事、そしてその島に伝わる先程の神話。その全てがそんなにこの作品の大事なこととは思えなくなる。その証拠に前半には悪人を嗅ぎ分ける嗅覚を持つという能力を発揮していた女が、後半はさっぱりその能力を行使していなかったことからも明白である。
ラストの、首を噛みきられた犬男の子を産み、同時に絶命する女。その顔が犬である稚児を抱え、島から脱出する自称夫。
多分、キモは3部の島での犬男と女との途切れない交尾シーンなのだろう。『新しい人間』を作り続ける人類という生き物に幸あれというメッセージ性の強い作風である。勿論、それは昨今の少子化問題へのアンチテーゼ、昭和のマッチョな男達の万感かもしれない。
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