劇場公開日 2017年5月19日

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「奇跡の”メジャー”感あふれる湯浅アニメの総決算」夜明け告げるルーのうた Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5奇跡の”メジャー”感あふれる湯浅アニメの総決算

2017年5月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

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どういうことか、これは!! 奇跡のメジャー感にドキドキする、湯浅正明の渾身の傑作の誕生だ。人魚の"ルー"がメチャクチャかわいい。初のオリジナル長編作にして湯浅アニメの総決算である。

つい先月、「夜は短し恋せよ乙女」が公開されたばかりで、同作は星野源人気で注目されて、森見登美彦ワールドとの相性は認めるものの、個人的には60~70年代の貧乏大学生ノリが苦手だ。「四畳半神話大系」をはじめ、やはり湯浅アニメは、マニアックなファンにこそ支持される風変わりな作風というイメージは避けられないと思っていた。

湯浅アニメは、独特のスピード感あふれる場面展開。原色を多用したカラフルな配色。デフォルメされ、観る者の遠近感が倒錯する異常なパース。リアルな描写があるかと思いきや、突如として抽象的なアウトライン線画のシンプルアニメになる意外性。それらの組み合わせが独特である。

今回はそこにポップな打ち込み音楽を絡ませ、大衆化された人魚キャラクターの"ルー"が弾けて踊る。ノベライズ版があるが、原作ではなく、あくまでもオリジナルアニメ。人間の少年×人魚の少女の出逢いは、オーソドックスな”ボーイ‣ミーツ・ガール”で、”素材的には、多くが宮崎駿の「崖の上のポニョ」(2008)の影響下にあるといえるが、それを超えて完全に湯浅調になっているのが好感。

太陽に当たると燃えてしまうというヴァンパイア設定の人魚。そこに"日除け"となる、自然条件や地形、アイテムが活躍する。面白いのは、人魚イヌの"ワンギョ"。まるで赤塚不二夫の"ウナギイヌ"をモチーフにしたかのようなキャラクター。

子供から大人までひろく楽しめる作品。昨年のアニメの当たり年は、今年も続くのだろうか。

(2017/5/19 /TOHOシネマズ日本橋/ビスタ)

Naguy