「夢のようなショー映像と、夢であって欲しいくらい嫌な奴にしか見えないバーナム。」グレイテスト・ショーマン 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
夢のようなショー映像と、夢であって欲しいくらい嫌な奴にしか見えないバーナム。
まず冒頭からぶっこみたい事は、これって『ラ・ラ・ランド』の比較対象とする映画なのか…?という事。
ミュージカル映画として一括りにするにはあまりに描かれる世界観が異なっているような。空想を唄う『ラ・ラ・ランド』、現実を唄う本作、という印象。ミュージカルシーンのエンターテイメント性は他のどんな作品よりも高いと感じたし、個性的でカラフルなたくさんの衣装が視覚に楽しく力強い歌声が耳に残る。特に『this is me』は良い!初見でサントラが欲しくなりましたね。ショーのシーンはまるで、万華鏡を観ているような気持ちに。何度繰り返して観ても飽きない華やかさがある。そしてヒューの完璧な肉体がキビキビと踊るのは、観ているだけでヨダレモノ。
主人公はショーマンというより、ショービズマンという印象。自称グレイテストらしいけど、映画からgratestさは伝わらず。
104分という短さは私のようなミュージカル映画が苦手な人間でも手に取ろうと思える最大限の魅力だけれども、主人公やその他キャラクター達の人間性を掘り下げ団長が慕われる迄のシークエンスを描くには全く時間が足りていない。フリーク達を集め見世物小屋よろしくサーカスを開き、売れたと思いきやすぐさまザック・エフロンに殆どを丸投げして自分はお金になるオペラ歌手を「本物」として入れ込みツアーに出る。失敗したらのこのこ戻り意気消沈…ただのクソ野郎でしかないので、周りがお金を出して迄彼を助ける意味が分からない!お払い箱にしちゃえよ〜〜!共感できない!あっさり許しちゃう妻もわかんない!聖女か?聖女なのか!?
P.T.バーナムというショーマンを描く事に焦点を当てるならば足りていないけど、エンタメとして楽しいかどうかでいえば充分な1本。
難しいけど、星3以上はつけ難いかな。