「惜しい」グレイテスト・ショーマン uuuuuさんの映画レビュー(感想・評価)
惜しい
周りが大絶賛するグレーテスト・ショーマン。そこまで言うならと公開終了ギリギリに見てきました。
感想としては、惜しい映画だなぁという事を第一に感じました。
良い所を述べると、絵が物凄く綺麗で曲もキャッチー。歌も演技も上手い。脇役のキャラクターもレディやフィリップ、将軍など好感が持てました。
残念だった所を述べると、一つは主人公のキャラクターにイマイチ感情移入できなかった事かと思います。
この映画は舞台のミュージカルのように物凄いテンポで場面が展開していくのですが、なぜか登場人物があるタイミングから年を取らなくなるので(史実に忠実なのかもしれませんが)、見ている自分としては「意思を短い間でコロコロ変えるキャラクターだなぁ」という感想を抱きました。
映画全体に流れる、「身分や人種、障害に関係なく人は尊重されるべき」というテーマの中で、障害者の奇異さという偏見に基づいた視点を持ち、自分の虚栄心のために仲間や家族でさえも利用し粗末に扱う主人公は一人かなり浮いているなぁと感じました。
そのくせ、序盤の家族とともに過ごす描写は創造的で愛妻家で身分なんか気にしない立派なパパとして描かれているので、モヤモヤします。
この主人公が仲間に責められる事もなく、 窮地になったけど仲間の助けでサーカスを復活させました!これからは家族を大事にします!めでたし!!で終わるので腑に落ちないなぁと感じる所も多かったり。
ストーリーについてもちょっと気になりました。
主人公が古い偏見の持ち主のせいで、映画の中の「障害者やサーカスへの上流階級の偏見vsサーカス」って構図が曖昧。その上障害者側はずっと同じサーカスやってるだけの描写しかないので、バーナムが成功している間、障害者側が同じサーカスを繰り返すだけなので、古い偏見に対する戦いへの進展がないのが悲しかったです。カタルシスを感じない。
多分映画ではなくて、舞台だったらもっと楽しめたのではないかと思います。演出も舞台の方が映えそうだなぁと思うものが多かったです。東宝さん辺りやってくれないかなぁ。