「渾身」グレイテスト・ショーマン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
渾身
魂を揺さぶられた…ような気がした。
その時代、階級社会、特異な人々。
「サーカス」という興行を成立させた人の話だった。「エンターテイメント」を最初にやった人と言ってもいいのだろうか?
登場人物たちが歌うパートは、どれも珠玉の一曲のようだった。
秀逸なのはその導入。
…ほぼ違和感を感じない。
芝居のパートと歌のパートがあり、ミュージカルのように踊りもするのだが…その歌のパートが嫌じゃない。
むしろ、魅入る。
その歌声に、ではなく。
そのダンスに、でもなく。
その内容に!
それまでのストーリー、その瞬間、その感情…全ての物を携えたまま歌われる歌詞が、魂の叫びにも聞こえる。
「This is me」って歌が好き。
題名がそれなのかどおかも分からんが、この歌詞が胸に突き刺さる。
こんな感想は初めてなのだが、俺もそこに参加したいと思った。
足を振り上げ、体を動かし、心の底から叫んでみたい。そんな衝動に駆られた。
ガムシャラに大声を張り上げたいような。
役者たちは皆、表現できる事の喜びに打ち震えているようでもあり、その身体の、その感情の、その声の躍動感に釘付けになる。
まるで、応援されてるようにも思えた。
頑張れ、と。
顔を上げろ、と。
へこたれるな、俺達がいるじゃないか、と。
ヒュージャックマンの作品は、色々観てきたが、そのどれでもないヒュージャックマンを観たような気がする。
まるで、役柄が憑依したかのような。
迫真の演技ってのとは違う。まるでそこにただただ存在しているかのようだった。
劇中歌はオリジナルなのか既存のものなのかは分からんが、どれもこれも今作の血液のような感じで、作品に動力を与えてた。
観れて良かった。
日常の色んなシーンで思い出すような作品になった。