「芸術とは幸せにすること」グレイテスト・ショーマン 0さんの映画レビュー(感想・評価)
芸術とは幸せにすること
冒頭のシーンにクライマックスをもってくることによって観客をひきこみ、放すことなく過去の回想シーンへと移行する。その短なミュージカルの間にも過去から現在への流れゆきをテンポよく説明し、劇中では常に困難がつきまとうことになる。しかしミュージカルのシーンでは一転してその困難を打開して風向きが変わる方向性があり、ここで毎度カタルシスが与えられる。(これはダンサーインザダークも似たような形態をとっているが、今作は現実と非現実の対比構造にはなっておらず連続性がある)
ヒュージャックマンが実物のないまやかしのショーマンであるならばまさにこの映画も同じ役割を果たしている。映画の成り行きがいくら必然的であったとしてもそこにはいくつもの偶然性があり、それが一つのショー(この作品だけでなく全ての映画)を支えている。ヤラセ?人を楽しませるエンターテインメントとしてドキュメンタリーが必要条件であるはずがない。たとえそれが詐欺だと言われようとも確実に感動と衝撃を与えているのは紛れもない事実。娯楽としてこれ以上何を求めるのか。登場人物たちが背負う様々な悩みや不満がミュージカルを通して浄化されていく。それが私たちの心にも響いてくる。
「レ・ミゼラブル」のときもヒュージャックマンの歌唱力が輝いていたが今回もまた素晴らしいミュージカルを魅せてくれる。
「ララランド」以来ミュージカル映画への偏見がなくなったおかげで今作も楽しめることができました。
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