配信開始日 2016年12月9日

「「アラタレ」の字幕が「アホタレ」に見えてしょうがない」スペクトル Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「アラタレ」の字幕が「アホタレ」に見えてしょうがない

2023年6月3日
Androidアプリから投稿

かなりバチバチのミリタリーSFだったが、劇場未公開の作品でここまで金をかけれるNETFLIXはやはりすごい。未知の敵と遭遇した兵士らの姿を描くのだが、その敵は現地の言葉で「アラタレ」と呼ばれる幽霊。「死霊館」でバチクソやられた悪霊たちがいよいよブチ切れて・・・という設定ではもちろん無く、敵の技術によって作り出されたいわば兵器である。アラタレは人の体をすり抜けるだけで一瞬で命を奪えるというチートスキルを身につけているのだが、超低温の物体に触れた人は即死するらしい。その信憑性はさておいて、彼らは幽霊の為こちらの兵器は通用せず、バタバタと味方がやられていってしまう。やや無敵過ぎる様に思えるアラタレだが、純粋な鉄くずに弱いという弱点が見つかったことを皮切りに、後半は互角の戦いをする展開となり、大画面で観ても良い位の迫力を感じる。
本作の主人公は兵士でなく技術者の為、先陣を切って戦いに挑むことはしないが、とんでもないスピードで武器を量産し、多勢に無勢であった戦況をガラリと変えてしまう程の天才である。材料がたまたまあっただけではそれ程の武器の生産なんて不可能だと思うのだが、それが通用するのが本作だ。この様に本作には細かい説明などは存在せず、ひたすら一進一退の攻防を描いている模様だ。キャラの立ちそうな登場人物も居るには居るが、スポットは当てられずに味方の一人というポジションのままである。だが、ミリタリー物は仲間との熱い絆など胸が熱くなるドラマパートが必要不可欠だ。それを省いてしまった本作はミリタリー物としては消化不良かもしれない。肝心のアラタレも何故攻撃をして来るようになったのかなども大して分からず、ワンパターンの攻撃が続いてそれ程長く興奮が続かなかったのが残念。だが間違いなく言えるのが一定の満足度は得られるという事だ。NETFLIXを侮るなかれ。

Mina