「視点を変えたら面白さが増したかも」ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
視点を変えたら面白さが増したかも
替え玉作家騒動とか美少年作家捏造事件といった予備知識を得て鑑賞する方が大半だろう。実話に基づくドラマで、クリステン・スチュワート演じるサヴァンナの自伝が原作なので、基本的にサヴァンナの視点で進む。J・T・リロイの筆名で「男娼になった少年の自伝的小説」を書いたローラ(ローラ・ダーン)に出会い、ローラからリロイになりすまして取材を受けるよう頼まれる。最初は乗り気でないサヴァンナだが、著名な映画監督やセレブからちやほやされるうち、リロイを演じることにのめり込んでいく。
ただし騒動の概要を既に知っていると、サヴァンナの内面がサスペンス要素として機能しづらい。これがもし、謎めいた美少年作家に魅了されたファンか、リロイに疑問を抱き真相に迫ろうとするジャーナリストの視点だったら、リロイの素性も映画の謎として機能し、より面白くなった気がするのだが。スチュワートとダーン、どちらも好演しているだけに惜しい。
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