「根底にはアメリカ人のポジティブシンキングが。」ギフト 僕がきみに残せるもの MPさんの映画レビュー(感想・評価)
根底にはアメリカ人のポジティブシンキングが。
元アメリカン・フットボールの花形選手が、突如難病のALSを発症し、医師から短い余命を告げられた時、どうしたか?彼はひたすらリミットが来るのを弱りゆく体を以て待つのではなく、やがて生まれてくる息子のために、父親としての証をビデオダイアリーに残そうと思い立った。実在するトップアスリートの行動は、やがて、メディアを取り込み、全世界のALS患者を救済するための社会的活動へと広まっていく。このドキュメンタリーの優れた点は、そのために犠牲になる家族の時間や、さらに、難病を発症したことで主人公と彼の父親の間に介在していた深い溝が埋まる瞬間等、普通はカメラを止めるデリケートな領域にも踏み込んで行く徹底した開示主義にある。主人公と彼を取り巻く人々の、不安を行動で凌駕していく、我々日本人から見るとある種病的なポジティブシンキングも含めて、アメリカの底力を痛感せざるを得ない1作だ。
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