「"ヒャッハー!"ほどの爆発力はなく、想定内の小ぶりな笑い」ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
"ヒャッハー!"ほどの爆発力はなく、想定内の小ぶりな笑い
30代の二コラ・ブナム監督による、フランス製ドタバタコメディである。夏休みのバカンス、コックス家は買ったばかりの新車で家族旅行に出かける。最新機能を積んだミニバンは快適なドライブになるはずだったが、ブレーキが故障し、時速160キロの定速運転がフリーズしてしまう。高速道路をひたすら走り続けるミニバンの車内で繰り広げられる騒動劇である。
ちょうどこの半年で、ブナム監督作品が「真夜中のパリでヒャッハー!」(2014)、「世界の果てまでヒャッハー!」(2015)と、立て続けに公開されている。本作は邦題のひどさは共通だが、"ヒャッハー!"シリーズほどの爆発力はなく、想定内の小ぶりなお笑い展開である。
そしてミニバンは、白バイ先導で高速道路を突っ走るわけだが、その先は渋滞中。クライマックスは見てのお楽しみだが、"こういう方法があるのか!"と感心させられるエンディング。いわゆる自動運転はもう現実的になっており、実際に起きそうな事件であるが、警察当局がこんな機転を利かせられるとは思えない。やっぱり映画的なわけだ。
各国のコメディ映画を見比べると、笑いのツボの微妙な違いを感じる。"嫁さんと舅(姑)問題"や、"夫婦喧嘩は犬も食わぬ"は世界共通だが、フランスやイタリア映画では、"浮気"や"不倫"は男女平等である。"後ろめたさ"がない。まして、ご近所や職場でうしろ指をさされるのは実に日本的なのである。
(2017/7/25 /ヒューマントラストシネマ有楽町/シネスコ/字幕:原田りえ)
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