「タブー」怪物はささやく ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
タブー
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癌の末期や難病の方の手記やブログを読んでいると、頑張っても頑張っても駄目な場合が記してあります。また、私の友人の元恋人は末期癌で亡くなったのですが、成すすべがなくなってしまった時に、友人は「早く精神的に楽になりたい」と言ってました。
母親の病について「早く楽になりたい」とコナーが吐き出すシーンは、一般的なドラマであれば口には出さない事です。しかし、敢えてコナーを真実と向き合わす事により、何かを乗り越える時には真実に向き合うしか方法はない事を示唆しているのだと感じました。コナーは無意識のうちにその事に気がついていたからこそ、恐ろしい妄想を使って楽になったのだと思います。反対に母親の病が治るという都合の良い妄想に逃げ込んだままだったら、コナーは母親の死を乗り越える事はできないでしょう。人の死に対して、癒しやスピリチュアルとは全く違うアプローチが新鮮でしたし、非常に哲学的な作品だと思いました。
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