「怪物は内なる自分か、はたまた母の守り木なのか?」怪物はささやく 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
怪物は内なる自分か、はたまた母の守り木なのか?
内容はあまり把握しないで観た。巻頭、少年がトースターでパンを焼き、洗濯している姿を見て、ネグレクトの話かと思った。しかし、映画が進むにつれ、同居する母親がガンだろうか、重病だということがわかってくる。学校では、病気の母親と同居しているかわいそうな少年と腫れ物に触るように扱われ、自分の気持ちを吐露できる相手はいない。母は調子が良い時は一緒にビデオを見たりして、楽しいひと時を過ごすこともあるが、ベッドに横になっていることが多い。少年は絵を描くことで、自分の気持ちを整理しようとしている。口うるさい義母とはそりが合わず、離婚した父親は遊びに来いとは言ってくれるが、同居しようとは言ってくれない。八方ふさがりの少年の元に怪物が現れる。最初は恐れおののく少年だったが、次第に心待ちするようになる。少年の見る悪夢は? 母親はどうなるのか? どんどん引き込まれていった。怪物の話は、勧善懲悪の内容ではなく、善にも裏の顔があり、一見悪と思われるものにも善の面が見られる。一筋縄ではいかない話だ。何を示唆しているのだろうか? よくわからなかった。少年を演じる俳優は新人か、目力が強い子で彼の苦難にハラハラしながら、魅入っていた。ラストは原作にはないそうだが、何となく救われた気がして鑑賞後感も悪くなかった。少年がこの先幸せに暮らしてくれることを願うばかりだ。
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