「怪物は語る」怪物はささやく ゾンビさんの映画レビュー(感想・評価)
怪物は語る
「怪物が語りかけます」「つらい、つらすぎる」
リーアム・ニーソンのイケボな怪物は、ささやくというよりも語りかけてきました。
『パンズ・ラビリンス』の製作陣、そして予告編を観るに、どんな作品か、どんな展開が待ち受けているかというのは明白ですが、やっぱり号泣してしまいました
『パンズ~』は正直なところ、主人公の少女と同世代の子が観て楽しめる作品ではなかったと思いますが…
むしろ魅せたらトラウマになってしまうんじゃないかという心配がありましたが、
本作はまさに主人公の男の子と同じくらいの歳の子が観ても、それ以上のどんな世代の方が観ても意味のある作品であると思います
父親の不在、同級生からのいじめ、いけ好かないおばあちゃん、そして大切なママと、
いろいろな悩みを抱えて生きるにはまだ幼くも感じられる男の子の前に突如現れた、癒しの力を持つ樹の怪物
彼の語る物語は、そのままの表現になってしまいますが、スケッチブックに描いた水彩画のような美しさでした
そして隠された真意がミステリアスでもあり、子どもの成長のカギでもあり、悲しくもあり…。
子どもというのは大人が思うよりもずっと繊細なんだな、と。
ウソだってつけるし、小さな胸にたくさんの気持ちを秘めているんだなぁ、と思わされますね
事あるごとに口にされる「罰」という言葉の重み。
あぁ、切ない。つらいよ。思い出すだけで胸が痛い。
あんな子どもが…あんな気持ちを抱えていただなんて
公開館が少ないことが本当に残念でなりません。
ビジュアル面や切ないストーリーだけでも女性客は呼べそうですし、リーアム・ニーソン…はまぁ声だけなんですけど、
『ローグ・ワン』とはまったく異なる「母親」という顔を見せたフェリシティ・ジョーンズも、
こういうおばあちゃんいる!なシガニー・ウィーバーの気難しさも、ザ・少年といったいで立ちのルイス・マクドゥーガルの透明感も一見の価値ありです