「決して綺麗事だけでは語れない。“怪物”がこじ開けた、少年の心。」怪物はささやく 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
決して綺麗事だけでは語れない。“怪物”がこじ開けた、少年の心。
【賛否両論チェック】
賛:心を閉ざした孤独な少年が、夢に出てきた怪物が語る物語によって、自分の本心と向き合っていく様が、不思議な雰囲気の中で描かれていくのが印象深い。ラストも感動的。
否:展開は非常に静かなので、気をつけないと思わず眠くなってしまうかも。
学校でイジメに遭って孤立し、唯一の拠り所であるはずの母親は重い病で不安定。そんな孤独な少年の夢に姿を現した怪物が語る、「善悪」「信念」「存在」にまつわる物語が、少年の閉ざした心から、その本当の感情を引き出していきます。
やがて母親の容態が悪化し、少年の心もすさんでいってしまった時、3つの物語を語り終えた怪物が、少年がずっと想いながらも表に出すことを許せずにいた“心の叫び”を解放させるシーンは、本当に印象に残ります。
決して明るい気持ちで観られるストーリーではありませんが、人としてどう生きていくかの道標になるような、そんな作品です。
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