「コナーが見ていて辛すぎました」怪物はささやく めいべいびーさんの映画レビュー(感想・評価)
コナーが見ていて辛すぎました
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安易に希望を持たせるようなことはせずに、主人公の直面している行き場の無い、不安で孤独な状況を描いた点は評価できます。
しかし、殆ど治る見込みの無い母親の病気、学校でのいじめ、新しい家族との生活を犠牲にする気の無い父親の態度、高圧的な祖母・・・たまりかねてのコナーの感情爆発、それによる事態の更なる悪化などなど、たたみかけられるうちに見ているのが苦痛で仕方なくなりました。
せめて好きな絵を描きながら想像の世界に逃げようとしても、そこでも容赦なく現実が突きつけられるし。
「怪物」はコナーが生み出したものだと最初から分かってしまったので、余計に見ていられなかったのかもしれません。
もっと謎めいた仕掛けだったら良かったのに・・・
コナーが最後に「怖い」「(ママ)逝かないで」と言えたことで、ついに現実へ向き合うことができた、ともかく一歩は前に踏み出せたという感動があるのでしょうが、逆にここまで追い詰められた12歳の少年の境遇に、周囲の大人への失望が消し去れません。
もう少し何かできなかったの?と。
これから精神的支えになってくれる人がいるようには思えず(そこは皮肉にも上手い)、今後も彼は怒りや諦めを一つまた一つと抱えて生きていくのでしょう。
それが大人になることなのかもしれませんが、本当に人生って酷。
実はこういう子供って気づかないだけで身近に沢山いるんでしょうね。
胸が痛くてつぶれそうな話でした。
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